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＿you side＿
「お嬢さん、どうしたのかな？」
「…へ？」
死のうと思っていた。
このまま生きていたら、罪悪感で押しつぶされそうで
どれだけ最低なことをしたのかと考えると
自分を保つことができない気がしたから。
「ここ、いいかな。」
「あ…危ないですよ？」
「それを言うなら君だって。」
「…見ればわかるでしょ？
危ないことするためにここに来たの。」
死を選んだ人が身を投げ出すことで有名な崖の上、
何メートルも下で渦巻く波を眺めながらそう吐き捨てると
声をかけてきたおじいさんは私に隣に座った。
「なんでこういう事するのか聞いてもいいかな。」
「…不倫、したんです。」
「お若いのに…いくつ？」
「20歳です、彼は45歳…。」
自分でも馬鹿だと思っている。
趣味でやっているハンドメイドの作品を
よく買ってくれていた常連さん。
オーダーメイドの品を取りに来た彼を見て
当時18歳だった私は一目で恋に落ちた。
「向こうも私を気に入ってくれて
こんなおじさんで言いならってお付き合いが始まって。」
「彼に奥さんがいたこと、知ってたの？」
「そんな…全く。
この前毛糸のぬいぐるみを依頼されて
プレゼントですかって聞いたら
息子にあげるんだって…。」
そこで結婚していることに気が付いて
それを彼に問い詰めると
あれ、言ってなかったっけと笑われた。
彼にとって不倫は笑い事なんだと
そこで愛は一気に覚めた。
「いくら知らなかったからって
私、最低なこと…っ」
「君はいい子だね。」
「いい子なんかじゃありません！
もっと早く気づいていたら…！」
「いや、君はいい子だよ。
どうかな…死ぬ前に
この老いぼれの願いをひとつ叶えてくれないか？」
突然そんなことを言い出すおじいさんに目を向けると
優しそうなオーラをまとった彼は私に微笑んだ。
「私の彼女になってくれないか？」
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ぴくみん(プロフ) - ぱぐたろさんの作品の一つ一つ伏線を回収していくお話が本当に好きで、今回もワクワクしながら読んでいたらあっという間にエンディングでした！今回の作品もとても面白かったです…いわふかの関係性が最高でした。 (2021年6月28日 3時) (
レス) id: 3b567ca5ed (このIDを非表示/違反報告)
みー - 他にはないジャンル？のお話で、一気読みしました！すごくおもしろかったです！ (2021年6月27日 23時) (レス) id: 978894b8a4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月27日 20時
