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_Watanabe side_



「…やっぱ無理!」



「何でやしょっぴー!
 ここまで来て無理はないで?」



久しぶりに訪れたこの場所は
三年前と何も変わっていなくて変に緊張してしまう。
この中にAがいる、また会うことができる
そう考えるだけで心臓が飛び出て行きそうだ。



「目見えてるなんて聞いてない!」



「今言うたやん。」



「おせえよ!!
 俺の顔見て意外と顔薄いんですねとか言われたらどうしよう!」



「どこ気にしてんねん…。」




家の扉の前で何度も行ったり来たりを繰り返していると
ついに怒ったのか康二に頭を叩かれた。
もし拒否されたらどうしよう
そんなネガティブな気持ちが頭を駆け巡っていく。




「どのみちこれから会う機会いっぱいあるで?
 俺と一緒の職場で働くんやから…
 Aも今年から一緒のとこ就職するわけやし。」



「だぁぁぁぁ!!!」



「うるさい!
 はよ行けキックかますぞ!!」




康二にそう言われて、意を決して家に入ると
一瞬にして三年前にタイムスリップした気持ちになる。
つい癖で音をたてないようにリビングへ足を進めると
ソファーで子犬と戯れているAがいた。




「…っ、」




三年も経ったのに
その笑顔を見るだけで胸が高鳴る。
あの奇妙な居候生活が蘇ってきて
込み上げてきた涙を必死にこらえた。



「だてちゃん駄目だよ、
 その人形は私とナベちゃんと幽霊さんの宝物なんだから。」



Aのその言葉に立ち止まる。
手には俺がナベ郎から預かった人形が握られていて
堪えきれず涙が溢れ出た。



俺ってこんなに涙もろかったっけ、
ずいぶん弱くなってしまった自分に笑みがこぼれた。





Aに伝えたいことがいっぱいあるんだ。

ここに住まわせてくれてありがとうって

気づいてたのに見逃してくれてありがとうって

最初は嫌いだったけど
いつの間にかA以外考えられないぐらい

愛おしくて守りたいって思えた

もう一度人生をやり直そうって思えた。









「…ん?」




ソファーの後ろに立って、手で目隠しをした。
Aは一瞬動きが止まったけど
少し震えている俺の手に自分の手を重ねてきた。





「…幽霊さん?」









Aの優しい声で懐かしいその名前を呼ばれて
俺は返事の代わりに前へ回り込んで優しくキスをした。

あとがき→←29



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ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございました!登場人物全員が幸せになれるといいですね。次回も頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - みささん» 読んでいただけて凄く嬉しいです!少しでも楽しんでいただけたのであれば良かったです! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ちよさん» お久しぶりです、ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» ありがとうございました!2人のその後はツイッターなんかで書けたらと思ってます!しばしお待ちください(>_<) (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» お待たせいたしました!最後は明るくしたくて二人を仲良さげに書いてみました!これからも頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年6月15日 19時

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