検索窓
今日:24 hit、昨日:22 hit、合計:204,520 hit

24 ページ24




「俺、そろそろ出ていくよ。」



兄貴が帰って、夜になりAが眠りについた後
ナベ郎の仏壇に向かってそう呟くと
頭の中に吠えている姿が蘇ってきた。



「お前は俺に任せてくれたのかもしれないけど
 もう大丈夫、あいつには最高の兄貴がいるから。
 俺が目になるのももう終わり!
 それに、お前がいないと手助けしたらバレんじゃん。」



そう、俺はナベ郎がいたから
Aに触れることができた。
これだけ一緒に生活してきて、どれだけ気持ちが変化しても
それを表に出すことは出来ないし
この先一生、Aに触れることはない。



「感謝してる、
 まあこれからは法に触れず真面目に生きるよ。」



どんなに話しかけたって
もう俺を見てくれる奴は誰もいない。
ここにいた約一か月の出来事はすべて夢だった、
その長い眠りから覚めるだけ
そう思えば、少しは心が軽くなった気がした。



「お前がAにあれだけ尽くしたくなる理由、
 今日やっとわかったよ。」



いい年して恋愛なんてまともにしてこなかったから
好きになった理由もパッとは思いつかなくて
気づくタイミングも最悪だったけど
すごくいい夢を見ることができた。




「早くて三日後かな、
 それまで…少し匿ってくれ。」



また逃げるだけの生活が始まる、
Aの存在を知らなかった頃の俺に戻る。



「ありがとな。」









ぬくもりなんて知るんじゃなかった。









「いでっ、」



最後の朝も、Aがベッドから落下する音で目が覚める。
しばらくするとゆっくり階段を下りてくる足音が聞こえて
携帯を探す姿を見て笑いを堪える。
そしてソファーの隣に座って
兄妹での会話に聞き耳を立て勝手に輪に入った気分になる。



それも今日で最後、
こんな穏やかで温かい幸せな空間も
全部…全部最後。



「…ん?」




Aが昼寝をしている隙に
物置部屋をもとの姿に戻し早めに風呂を借りて
ナベ郎に挨拶しようとリビングへ向かうと
庭の木の陰から誰かがこちらを覗いている。



「誰だ、あいつ。」



俺には気づいていないようで
ニヤつきながらこちらを覗く姿は
男の俺でも身震いするほどだった。



「んがっ…!」






そのタイミングでAが目を覚まして
挨拶は後回しにし一旦物置部屋へと戻った。

25→←23



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (605 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
573人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 渡辺翔太 , 向井康二
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございました!登場人物全員が幸せになれるといいですね。次回も頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - みささん» 読んでいただけて凄く嬉しいです!少しでも楽しんでいただけたのであれば良かったです! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ちよさん» お久しぶりです、ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» ありがとうございました!2人のその後はツイッターなんかで書けたらと思ってます!しばしお待ちください(>_<) (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» お待たせいたしました!最後は明るくしたくて二人を仲良さげに書いてみました!これからも頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年6月15日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。