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「ご夫婦は…残念ですが。」
「そんな…っ、」
「娘さんは命に別状ありませんが
全身の打撲と…視力を完全に失っています。」
まだ10歳だった俺にも理解できてしまうその言葉に
叔母の服の裾を握っていた手が滑り落ちた。
寝ぼけていた頭は徐々に冴えていって
淡々と説明し続けるお医者さんの顔を見上げることしかできなかった。
「視力の回復は、正直見込めません。
移植が一つの手ではありますが
ドナーを待っていらっしゃる方が沢山いまして…」
「まだ５歳なのに…っ、」
「…、もうじき意識が戻ると思いますので
病室に行ってあげてください。」
泣き続ける叔母、それを支える叔父と共に病室に入ると
小さな体にいくつもの線が繋がっていて
ドラマなんかでしか見たことのない酸素マスクをつけた
クズだらけの妹がベッドに横たわっていた。
「Aちゃんの意識が戻る前に
少しだけお話が…。」
しばらくすると看護師さんが病室にやってきて
叔母を一人にできるわけもなく
2人が病室を出るのを見届けて
俺は再び妹の方へ視線を向けた。
「…最後までお前かよ…っ、」
どこまでみんなの関心を独り占めすれば気が済むんや、
こいつのお遊戯会のせいでお父さんもお母さんもいなくなって
何お前だけ生き残ってんねん。
「パパとママじゃなくて
Aが死ねばよかったのに…。」
自分でも恐ろしくなった、
何でこんなことを口に出してしまったのかって。
口に手を当て驚いていると
小さな手がぴくっと動いて顔を上げた。
「…ね、」
「A…？」
「康ちゃん何処…？
何でかくれんぼしてるの…？」
Aの声が聞こえた瞬間
怖くなって病室を抜け出した。
「正直に言ってよ…こんなお荷物いらないって…っ、」
まさか妹に聞かれていたなんて
今までずっと知らない顔して接してくれてたなんて
子供だったあの時の俺を殴りたい気持ちでいっぱいで
両手で固く握り拳を作った。
「…最初は、嫌いやった。」
「…っ、」
「いっつもAばっかりで
お兄ちゃんなんやからって言われるのに疲れた。」
一度してしまったことを隠し通せるわけがない、
ちゃんと向き合って
今度こそ仲のいい兄妹になりたい。
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ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございました！登場人物全員が幸せになれるといいですね。次回も頑張ります！ (2021年6月27日 21時) (
レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - みささん» 読んでいただけて凄く嬉しいです！少しでも楽しんでいただけたのであれば良かったです！ (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ちよさん» お久しぶりです、ありがとうございます！これからも頑張りますのでよろしくお願いします！ (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» ありがとうございました！2人のその後はツイッターなんかで書けたらと思ってます！しばしお待ちください(>_<) (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» お待たせいたしました！最後は明るくしたくて二人を仲良さげに書いてみました！これからも頑張ります！ (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年6月15日 19時
