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「小さい時に幼稚園で作ったの…っ、
 ナベちゃんが気に入ったみたいで仕方なくあげたんやけど
 私が泣いてるときだけいつも返してくれるの。」



「…っ、」



「最後までそんな気遣いしなくていいよ…っ、」



きっとナベ郎にとって
かけがえのない宝物だったんだろう。
Aが、自分が死んだ後に泣くのをわかっていて
それで俺にこの人形を託したんだろう。



「私の事置いてかんでよ…っ、
 一人ぼっちになっちゃうよ…!」



「…。」



「ナベちゃんだけなんよ…?
 私の事好きでいてくれるの
 どんなことがあってもそばにいてくれるの…っ!」



きっといつもの俺なら、
兄貴も親もいるんだろって
あれだけ甘やかされて優しくしてもらってるのに
何言ってんだよってイライラしていたと思う。



でも今の俺は
そんなことねえよって
ナベ郎の代わりにはなれないけど
俺がずっとそばにいるよって



出来もしないことを
本気で強く思ってしまっているんだ。





「置いてかないで…
 私も連れてって…?
 みんなの所に行きたい…っ、」




今すぐに抱きしめたい。
そんなこと言うなって、ここにいてくれって
心の中の俺が何度も叫んで胸が痛くなる。



隣で泣きじゃくるAの腕を引っ張れば
すぐに抱きしめることができる。
それなのに、伸ばした手は小刻みに震えて
Aに触れることを拒む。





「幽霊さんもまたすぐ消えちゃうん?
 そしたら私は…本当に一人になっちゃう…っ、」




傍にいるよって伝えたい
ナベ郎のように飛びついて包み込んであげたい。
でも今の俺には、それができない。



だってもう、ナベ郎はいないのだから。
Aに触れてしまったら
もう二度と会うことができなくなってしまう。




また俺は、暗闇に引きずり込まれてしまう。






「幽霊さんはまだ私のそばにいてくれる?」



「…、」



せめてもの気持ちで床を二回ノックすると
涙でぐちゃぐちゃになった顔のまま
口角を上げて笑って見せた。



「約束ね?」









その言葉には、返事を返すことはできなかった。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございました!登場人物全員が幸せになれるといいですね。次回も頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - みささん» 読んでいただけて凄く嬉しいです!少しでも楽しんでいただけたのであれば良かったです! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ちよさん» お久しぶりです、ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» ありがとうございました!2人のその後はツイッターなんかで書けたらと思ってます!しばしお待ちください(>_<) (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» お待たせいたしました!最後は明るくしたくて二人を仲良さげに書いてみました!これからも頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年6月15日 19時

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