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「A、きっと甘やかされてんだろ?
 こんなおっきな家に立派な犬と一人で暮らして
 …兄貴の気持ちなんかわかんねえんだろうな。」



「…。」



「ああ、安心しろよ。
 イラつきはするけど約束は守るし
 もうしばらく匿って欲しいから
 手は出さねえよ。」



そろそろ飯食って風呂入って寝よう。
零れ落ちそうになった涙を拭って立ち上がろうとすると
寝そべっていたナベ郎が服の袖を噛んで引っ張ってきて
勢いよく尻もちをつき痛みが走った。



「何だよ…。」



「…。」



「…なにこれ。」



犬小屋の中に入っていき
再び出て来たかと思ったら口にくわえているものを手に乗せられた。
それは薄汚いフェルトとボタンで作られた人形で
眉間に皺を寄せ見つめていると
ナベ郎はまた寝そべって目を閉じてしまった。



「…結局何なんだよ、
 飼い主に似て行動が読めねえ。」




とりあえずそれをポケットに入れて
適当に食事を済ませ風呂に入ると布団に寝そべった。




「犬相手に何喋ってんだよ俺…。」



でもスッキリしたのは事実で
その日はすっすり眠ることができた。









「ナベちゃん最近二階に来やんね、
 しんどい?」



あの人形を渡された日から
徐々にナベ郎の元気がなくなっていった。
いつもAのそばをぴったりくっついているのに
犬小屋で寝ていることが多くなった。



「ナベちゃんご飯食べよう?」



一粒残さず綺麗に食べていたドックフードも
段々残す量が増えていった。



そして何より変わってしまったのは
Aが転びそうになった時
迷わず全力疾走で駆け寄っていくのに
今は立ち上がってもすぐに地面に伏せてしまう。




「年だからね…
 こればっかりは覚悟してとしか…。」



流石に様子の変化に気づいたAは
兄貴に連絡をして獣医を連れて来てもらい
診察をしてもらった結果そう言われていた。



「ナベちゃん…。」



Aもどんどん元気がなくなっていって
弱っていく姿に俺も胸が苦しくなった。



「あいつ、ナベ郎がいなくなったらどうするんだろ。」




いつしか俺は無意識に
Aの心配をするようになっていた。



きっとそれはあいつの事を思ってじゃない、
ナベ郎がいなければ俺の存在がバレるのは時間の問題だし
約束は意味を持たなくなって
俺はこの家を出ていかなければいけないから。

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ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» ありがとうございました!登場人物全員が幸せになれるといいですね。次回も頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - みささん» 読んでいただけて凄く嬉しいです!少しでも楽しんでいただけたのであれば良かったです! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ちよさん» お久しぶりです、ありがとうございます!これからも頑張りますのでよろしくお願いします! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ayaさん» ありがとうございました!2人のその後はツイッターなんかで書けたらと思ってます!しばしお待ちください(>_<) (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぴくみんさん» お待たせいたしました!最後は明るくしたくて二人を仲良さげに書いてみました!これからも頑張ります! (2021年6月27日 21時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年6月15日 19時

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