第六章 オタク、限界 ページ36
＿you side＿
「最近目黒とうまくいってる？」
「え、なんで？」
照くんにそう聞かれて
パスタをくるんだフォークをお皿の上に置いた。
毎日目まぐるしく忙しい。
初めてのことだらけで康二もいつもの元気がなくなり
手伝うと言ってくれた蓮くんに頼る暇すらない。
最初の頃は康二がお風呂に入ってる時間に
電話をして何とか2人の時間を作っていたけれど
その時間すら取れないほどに仕事が山積みだ。
「何となく、Aちゃん顔色悪いし。」
「これは仕事のせいだよ…
まあ蓮くんと最近話せてないけど。」
「会議室に籠りっぱなしだもんな、
やっぱり部長に言って
俺も企画メンバーに入れてもらおうか？」
「照くんだって最近忙しそうじゃん、
私は大丈夫。
でもこ…向井くんが心配かな。」
再びパスタを口に運ぶと
腑に落ちないのか目の前でカレーをつつく照くん。
正直言って限界はもうとっくに超えているけど
弱音を吐く力すら残っていない。
「てか、目黒との時間ないなら
昼ぐらい一緒に食べたら？
俺が誘っていてなんだけどさ。」
「ああ、なんか田崎さん？と食べてるらしくて。」
「は？」
照くんが怖い顔をしてスプーンを置いた。
一瞬にして空気がピリつき
自然と背筋が伸びた時、店に誰かが入ってきた。
「あいつ…。」
それは蓮くんと、恐らく田崎さんだった。
何故曖昧化というと初日以来顔接点がなく
顔をちゃんと見たことがなかったから。
「…こんなことAちゃんに言うの嫌だけど
あいつずっと田崎にべったりなんだよ。」
「そうなんだ。」
「田崎も明らかに目黒狙いだし
Aちゃんが忙しいときに何やってんだよ…
どうした？」
気になって二人をじっと見ていると
田崎さんと目が合って慌てて照くんの方を向いた。
そして隠れるように身を縮めると
自分でも顔が青ざめていくのがわかった。
「Aちゃん…。」
「ごめん、何でもない。」
次から次へと、何でこうも悩みの種が増えるのか。
何だか自分だけが追い込まれているような気がして
ついに自分の中のストッパーが外れたようだ。
「ごめん…。」
涙が止まらなくなって
お金を置いてオフィスへと走って行った。
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ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» 読んでいただきありがとうございました！康二の好きな人…ご想像にお任せしますがそのもしかしてです…！ (2021年5月6日 20時) (
レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - nanaさん» ありがとうございます！私も書いていて楽しかったです…笑 (2021年5月6日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーんかれー(プロフ) - すごく面白かったです！！康二の好きな人って…誰なのでしょうか。すごく気になります(ｳﾙｳﾙ)!もしかして… (2021年4月15日 0時) (レス) id: 5c6f4c07d1 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 個人的に田崎さん面白くてすごく好きでした！笑 (2021年4月13日 3時) (レス) id: ee08cea7b9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 怜於さん» ご指摘ありがとうございます！訂正いたしました！ (2021年4月11日 22時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年4月2日 19時
