第五章 オタク、会えない ページ31
＿you side＿
「4月に入ったという事で
新入社員の子たちが今日から配属されるから
教育係とか関係なく面倒見てあげてね〜。」
相変わらず部長の手抜き感は直らない。
もう新入社員が入ってくる季節かと時の速さを実感し
挨拶があるからと社員全員が集められた。
今年はうちに配属された人数は少なくて2人だけ、
男なのか女なのか何歳なのかも今日ここで初めて知る。
「あ、じゃあ僕から挨拶させてもらいますね〜。」
去年は蓮くんの教育係だったから今年は当たらないだろうと
呑気に考えて首から下げた社員証をいじっていると
聞き覚えのある声が聞こえて前を向いた。
「はっ。」
「向井康二です〜、歳は今年23歳なります！」
聞いてない、
なんで康二がここにいるんだ。
本人はまったく気にしていないようで
私を見つけると満面の笑みを浮かべて手を振ってきた。
「何アイツ。」
「さ、さぁ？」
「A狙われてんじゃないの。」
案の定康二のような人種が嫌いなみゆきは
鬼の形相で睨みつけていて
笑顔だった康二もさすがに怖かったのか手を止めた。
「田崎瞳子です、23歳です
精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。」
「田崎さん堅苦しない？すまーいる！」
「はぁ…。」
もう一人の女の子は引いている。
康二が私に強烈なアピールを繰り返すから
田崎さんと被って顔が見えないけど
挨拶をする声は透き通っていて可愛らしい雰囲気だ。
「新人が来ると明るくなるね！
教育係は付きたいなーって直感的に思った人にお願いしてね
それでスケジュール組むから。」
あんたはよくそれで部長まで昇進できたな、
もうここまでくると嫌な予感しかしない。
「じゃあ私…」
「俺は伏持さんで！！」
今度は田崎さんの言葉を遮って
手を天井に向かって真っすぐ上げると私を指名してきた。
額に手を当てて頭を抱えていると
隣に立つみゆきは噴火寸前で非常にまずい。
「あの…。」
「じゃあ田崎は目黒でいっか。」
田崎さんだってつきたい人がいたかもしれないのに
部長が適当に振るもんだから
蓮くんも田崎さんも困っている様子だ。
「じゃあ後はよろしくね〜。」
一回ぐらいぶん殴ってもみんな許してくれるかな。
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ぱぐたろう(プロフ) - ぐりーんかれーさん» 読んでいただきありがとうございました！康二の好きな人…ご想像にお任せしますがそのもしかしてです…！ (2021年5月6日 20時) (
レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - nanaさん» ありがとうございます！私も書いていて楽しかったです…笑 (2021年5月6日 20時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
ぐりーんかれー(プロフ) - すごく面白かったです！！康二の好きな人って…誰なのでしょうか。すごく気になります(ｳﾙｳﾙ)!もしかして… (2021年4月15日 0時) (レス) id: 5c6f4c07d1 (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 個人的に田崎さん面白くてすごく好きでした！笑 (2021年4月13日 3時) (レス) id: ee08cea7b9 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - 怜於さん» ご指摘ありがとうございます！訂正いたしました！ (2021年4月11日 22時) (レス) id: 182e74d2ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年4月2日 19時
