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第二章 いい人 ページ10

_Sakuma side_



仕事にも慣れ始めて一人で業務ができるようになった。
阿部ちゃんとは担当が離れてしまったけど
毎日仕事に行くのが楽しくて仕方なかった。



「じゃあこの4人で企画よろしくね。」



一週間前に舘さんから告げられたのは
もう運命としか言いようのないことで



「Aちゃんよろしくね!」



「…。」



選ばれた企画チームの中にはAちゃんの名前があって
自分で用意したメモ帳に書いた文字を見せながら声をかけると
控えめに頭を下げてニコリと笑った。



「本当に今日も可愛い!」



「!!」



また顔を近づけすぎて驚かせてしまい
Aちゃんが後ずさった後、後頭部に衝撃が2つ走った。



「いたっ!」



「近い!」



「…。」



1つはもちろん俺の右側に立っていた早見さんからで
手に持っている大事なはずの資料を丸めて俺の頭を叩いたらしい。
俺は頭を掻きながら軽く謝り左側を向くと
同じく資料を丸めて手に持っている渡辺さんが
無言で睨みながらこちらを見ていた。


「もうさ、運命だよね!」



「メンバーから見て押し付けられただけだろ。」



「まさかAちゃんと仕事できるなんてさ!」



「早見さんと渡辺さんの姿見えてる?」



食堂に一人向かう途中見慣れた背中を見つけて
何も考えず勢いよく飛びつくと
阿部ちゃんが呆れ顔で俺を見下ろしてきた。


食堂に着き向かい合って日替わり定食を食べながら
そんな会話を繰り広げていると溜息をつかれた。




「あの2人と一緒で
 残りのメンバーは控えめな岩本さんだけ
 いくら岩本さんがいい人でもそんなチームお断りでしょ。」



「いやぁ、今日も可愛いのよ!」



「聞いてないし…。」




阿部ちゃんは小さい咳払いをすると
トレイを持って席を立ったかと思えば
俺の隣に座って肩を抱き寄せられた。





「好きな子と一緒に入れて嬉しいのはわかる。
 でも佐久間はちょっと…
 いやかなり強引で距離感が強引なところがあるから
 控えめにしないと岩本さんも困っちゃうよ。」





「はい…肝に銘じます。」






俺がそう言うと肩を離して
横並びのまま昼ご飯を食べ始めた。

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年3月7日 18時

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