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「しばらく誰かについてもらおうかな、
 えっと…、早見さん任せられる?」



指名されたのは岩本さんの隣に立つ女性で
一瞬驚いた顔をしていたけどすぐに笑顔で頷いた。



「あ、でもAちゃんのフォローは…。」



「そっか…じゃあやっぱり別の人に、」



「俺が岩本のフォローします。」



どうやら早見さんは岩本さんの仕事を補助していたらしく
どうしようかと悩んでいると
岩本さんの後ろに立っていた男性が手を上げた。
舘さんは驚いたように目を丸くし、早見さんは少し睨んでいて
俺の頭の上にはハテナマークが浮かんだ。



「翔太が?」



「教えるのは早見が一番うまいし
 俺の担当今落ち着いてるから。」



「それは知ってるけど…。」



舘さんがぎこちなく早見さんに目を向けると
さっきよりも睨みが増していて阿部ちゃんより怖い。
岩本さんは困り顔で笑みを浮かべて
ちょっとかわいそうになって来た。



「そんな怖い顔しないで、ね!
 岩本さんめっちゃ怯えてるし!」



「佐久間…。」







時すでに遅し、というのはこのことだ。







「怖くて悪かったわね…。」



「ふっ。」



早見さんの顔はどんどん怖くなっていき
翔太と呼ばれていた男性はその姿を見て鼻で笑った。
やたら冷えた雰囲気になってしまったこの状況に
阿部ちゃんはもう知らないとでも言いたげな顔だ。



「…。」



「Aちゃん?」



岩本さんは早見さんの服の裾を引っ張った後
さっき使っていたメモを片手に何かを書きだした。



“渡辺さんにお願いするので
 美里さんは二人に付いてください。”



「…本人がこう言ってんだからいいだろ。」




男が勝ち誇ったような顔でそう言うと
早見さんはいらだった様子で溜息をついた。
そしてその男に向き合うように立つと
2人とも腕を組んで睨み合った。




「あんたいつもの態度でAちゃんに接しないでね?
 あんな接し方で本当にフォローできるわけ?」



「うっせえ、俺の勝手だろ。」




いつも二人はこんな調子なのか
周りは気にすることなく仕事を始めている。
舘さんはこの状況を楽しんでいるようだし
阿部ちゃんは我関せずで窓の外を眺めている。









こんなカオスな状況の中で岩本さんと目が合って
お互いぎこちない笑顔を作った。

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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年3月7日 18時

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