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＿you side＿
「…。」
ここに入社してからずっと美里さんについてもらっていて
あの時は大丈夫といったものの
いざ離れて行動してみると不安が込み上げてくる。
「…っ！」
とにかく目の前の仕事にとりかかろうと
パソコンと向き合っていると誰かにつつかれて
隣を見ると同期の斎藤さんが心配そうに私を見ていた。
“聞いたよ！
美里さんいなくて大変だろうけど
みんないつでも駆けつけるから言ってね！”
そう書かれた付箋をパソコンに貼られて
斎藤さんの顔を見上げると笑顔で頭を撫でられた。
慌てて頭を下げると手をひらひらさせていて
それを隣の席から見ていた渡辺さんが
斎藤さんを連れてオフィスの隅っこへ行ってしまった。
「…？」
こういう時に自分が嫌になる。
この距離でも相手が何を言っているのか聞こえない、
分かるのは表情や口の動きからして言い合っている事だけ。
恐らく私の事で…ただそれだけしかわからない。
“気にしなくていいからね。”
また別の社員さんから
そう書かれたメモを差し出されて愛想笑いを浮かべた。
しばらくして戻ってきた渡辺さんは
いつも通り眉間に皺を寄せてパソコンを起動させた。
ずっと見ているのも気持ち悪がられると思って
私も自分の仕事に集中することにした。
「…？」
しばらくしてまた背中を軽くつつかれて
振り返ると何故か美里さんがいた。
その後ろには今日入ってきた新しい社員さんがいて
ピンク色の髪の毛が綺麗な佐久間さんが
じっとこちらを見てくる。
“やっぱり私が付こうか？”
そう書かれたメモを私に見せてくる。
それを渡辺さんも見たらしく席から立ち上がり
また二人で睨み合ってしまった。
どうすればいいかわからず座ったまま俯いていると
もう一人の阿部さんという方が二人の間に入った。
これで何とかなるだろうと安心していると
視界いっぱいに佐久間さんの顔が入ってきて
思わずキャスター付きの椅子ごと後ずさった。
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年3月7日 18時
