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「お疲れ様。」
「あ！阿部ちゃん待っててくれたの？」
「たまたま今終わっただけだよ。」
会社を出ると出口付近の壁に寄りかかる阿部ちゃんがいて
今終わったという割には鼻が赤くなっていて嘘は丸わかりだった。
中で待っていてくれても良かったのにと思いながらも
すごく嬉しくて自然と口角が上がった。
「大丈夫そう？」
「うーん、さっそく言い合いになってたね。」
「だろうね。」
なんて軽い報告を済ませて歩き出そうとすると
会社からちょうどAちゃんが出て来て
すぐに駆け寄って顔を覗き込んだ。
「お疲れ様―！！」
「佐久間近い、あとメモ。」
「あ、そっか！」
何度も顔を近づけてしまうことに反省してはいるのだけれど
そのたびに顔を赤くして俯くAちゃんは可愛くて
思わず何回もしてしまう。
メモを取り出そうと鞄をあさっていると
俺の視界に可愛い犬の絵がプリントされたメモが映った。
“お疲れ様です。
私は大丈夫なので明日は頑張ってください！”
「んんん可愛いっ！！」
言葉にならない呻き声が出てしまって
まだ頬が赤いままキョトンとした顔をするAちゃんに
慌てて首を左右に振った。
「何かあったら、連絡してね！」
声に出しながらそのメモに書き込むと
連絡先を好感していないことに気づいた。
するとその文字を見たAちゃんは鞄をあけて
中からピンク色のスマホを取り出しラインを開いた。
「え！いいの！？」
まさか向こうから教えてくれるとは思っていなくて
阿部ちゃんも驚いた顔でこっちを見ている。
Aちゃんはニコニコしたまま交換する画面を見せてくれて
俺は上がる心拍数が彼女に伝わらない様に
平然を装ってラインに追加した。
“これで連絡できますね！”
「もうさ、結婚しない？」
「佐久間…。」
思わず心の声が漏れてしまい阿部ちゃんに頭を叩かれた。
今日はやたら口頭部にダメージ食らうななんて考えていると
Aちゃんは俯いてメモに何かを書き始めた。
「…あの。」
その様子を見ている時、誰かに声をかけられて
阿部ちゃんと2人声のする方に視線を向けると
背の高いライダースジャケットを羽織った怖そうな男性が
こちらを見て立っていた。
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作者名：ぱぐたろう
| 作成日時：2021年3月7日 18時
