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_Fukazawa side_
2/9 PM 8:00
“聞いてないです。”
「辛辣…。」
結局この数字を書いた人物の
年齢や名前、性別すらわからないし
また一つ減って24と書かれたこの数字の意味も分からない。
分かっているのは文字が可愛くて癒されることだけ。
「好きな人って…男だったらどうすんだよ。」
俺はそっちの気質ではないぞと
昼間のニヤニヤした照を思い出しながら怒ってみる。
「はい、卒業まで1か月を切りましたが____。」
中年の先生が暖房の効いた教室で額に汗を浮かべながら
プリント片手に話し始めたのは卒業式の案内だった。
前から回ってきたプリントを見ると
朝と昼の部に通う生徒と合同で行うことが記載されていた。
「まあ夜間定時制の皆さんは
仕事がある人も多いでしょうし参加は自由です。」
卒業式には元々出る気はなかった。
でも合同の文字を見た時に
もしかしたら会えるんじゃないかと興味が湧いた。
「えっと、日程はプリントにも書いてある通りで___。」
「あ…。」
そこには3月5日と書かれていて
苦手な計算をしてみると24日後であることが分かった。
「卒業式までのカウントダウンか。」
月曜日になると、金曜日に見た数字より三つ減っていたのは
学校に来ることができない土日の分を
一気に引いた数字を書いていたからだったのかと
1人納得してモヤが取れた。
“わかった!
卒業式までのカウントダウンでしょ!
合同でやるから俺もいるんだ
よかったら会わない?”
「ナンパじゃねーか。」
でもどうしても会ってみたい。
こんなに丸くて可愛い文字なのに
何処か真反対な暗い雰囲気が漂っているように感じて
一度でいいからどんな子か見てみたかった。
「皆さんは指定制服がないので
もし参加するのであればスーツでお願いします。」
慣れない考え事に瞼が重くなってきて、
ぼそぼそ喋る先生の声を子守唄に眠ってしまうと
次に起きた時には周りの生徒たちが帰り始めていた。
「やば、明日早いんだった。」
急いで帰らないと寝る時間が無くなる。
慌てて鞄に教材を詰め込んで教室を出て
いつも乗っている電車に間に合うように走り出した。
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メイ(プロフ) - 深澤くんのハッピーエンド待ってました…!35から始まる構成はまさか過ぎて読む前からドキドキでした。ぱくだろうさんはハッピーエンド書いても天才です。 (2021年3月8日 2時) (レス) id: 6e673490c7 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ぽきさん» 読んでいただきありがとうございます!楽しんでいただけて良かったです! (2021年3月7日 18時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - ふっかちゃんさん» ありがとうございます!そう言ってもらえると嬉しいです、次も頑張ります! (2021年3月7日 18時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - coccoさん» ありがとうございます!お話のなかのカウントダウンに合わせて逆から初めてみました。そう言ってもらえると嬉しいです! (2021年3月7日 18時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
ぱぐたろう(プロフ) - りょっくさん» 読んでいただきありがとうございます!少しでも力になるようなお話になっていれば嬉しく思います( ´ ` ) (2021年3月7日 18時) (レス) id: 7ae9714678 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱぐたろう | 作成日時:2021年3月5日 20時