君との距離感 * 西谷夕 【HQ】

05 見守りたい ページ6

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*Side..澤村



「ははっ、あいつら嬉しそうだなっ」

「一気に賑やかさが増したな」


タオルで汗を拭いながら近くに寄ってきたスガと、視線の先で楽しげ話をしている3人を見ながら言った。



「だな。…っていうかさ、大地。この休憩、Aが入ってきたの見計らって取ったろ。」


「……さあ、どうだろうな」



本当のことを言うとスガの言うとおりだった。

そろそろ休憩を入れようと考えていたところ、ちょうど視界に清水に促され、西谷を気にかけているAが見えたから切り上げた。

我ながら甘いとは思うけど、後輩の気持ちを汲み取るのを優先しても良いだろう…？




「でもま、戻って来るなり旭だけじゃなくAのことも気にかけてたし」

「平静を装ってるつもりだったのか知らないが、明らかに落ち着きがなかったな」



１ヶ月ぶりに顔出したと思ったら旭が戻らないことを知って外に飛び出した西谷。

その後、日向とのやりとりを経て練習には参加する旨を聞いて受け入れたが、Aの姿が見えないことをずっと気にしていたようだった。


あいつら特別仲が良かったもんな…



「でもまあ、時間があいても西谷が変わってなくて良かった。」

「……心境は少し変化しててほしいけどな」


横でスガが苦笑しながら呟いた。
意図がわからずスガの方を見ると、軽くため息をつかれた。


〜〜〜〜〜


*Side..縁下


「あのっ、西谷先輩って謹慎中でも学校には来てるんですよね？Aさんと久しぶりって…同じ学年なのに会わないものなんですか？」


傍で様子を見ていた日向が聞いてきた。



「クラスが違っても会うことはあると思う。
でもあいつら、この謹慎期間は意識して全然話してなくてさ…」


「……実は前まで喧嘩してすっげえ仲悪かった…とかッスか？」

「ええっ!? 西谷先輩とAさん今はあんなに仲良さそうなのに!?」


驚く日向の横で興味があるのか影山も加わる。

他人に興味に持つのは少し珍しいと思ったが、
頻繁に自主練に付き合ってくれてるAの件ということも相まって気になるんだろうな。



「ふたりはずっと仲良いよ。お互いを想ってるからこそ、どちらからともなく距離を置いたんだと思うよ」

俺の言葉に首を傾げる1年ふたりを見て苦笑した。


あいつらのことだ。
西谷は甘えないよう、Aは邪魔しないよう自然と距離を置いたんだろう。


言葉を交わさずとも互いに疎通できる関係性、いいな。


俺はふたりを見守り続けたい。


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