君との距離感 * 西谷夕 【HQ】

02 はやる気持ち ページ3

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「よし、これでOK. Aさん､助かったよ」

「力になれてよかったです！それでは失礼します···！」



(ああ、やっと終わった…！)




ぺこりと頭を下げて準備室を出ると同時に､
カバンをぎゅっと抱きしめて先生に見つかっても怒られない程度の小走りで私は体育館へ向かった。



人から頼まれたら断れない質なのを知ってか知らずか､
係でも当番でもないのに教科担当の先生から放課後､
手伝いを頼まれたのだった。



「もっと早く行きたかったのにー···！」



部活への参加が遅れることは既に武田先生や3年生に連絡してあるし、
別に急がなくても良いんだけど、昨日の青城との戦いを受けて私の部活動に対するやる気は普段よりも増していた。




もちろん、マネージャーとして出来るサポートの話。





普段、部活動の開始時刻よりも前に行くと、

必ず1年の日向翔陽と影山飛雄が誰よりも早く来て練習をしている。


毎日、絶対にいる。




やる気に満ち溢れたふたりにちょっと対抗して、
私も終業後すぐに猛ダッシュで駆け込んでみたことがあるけれど、勝ったことはない。


あのふたりは早すぎる。


体育館に住んでるのかと疑ったこともある。




後輩相手に対抗心を燃やしてバカばかりやっていたせいなのか分からないけど、
1年生とはすぐに打ち解けられて今はそれなりに仲良くしている。


そんなこともあって、
最近の部活動は以前にも増して楽しくて楽しくて仕方がない。





特にバレーを心から楽しみながらいつも一生懸命がむしゃらに頑張っている翔陽と、


それに対抗しつつ向上心を忘れずに上を目指し続ける飛雄。


そんなふたりを見てると全力でサポートしてあげたいと思った。





昨日の今日ということもあり私と同様に､

みんなやる気に満ちているはずで

今日も初っ端から1年ふたりのサポートから始めようと思ってたんだけど···




「だいぶ遅くなっちゃったなぁ···」




通りすぎる教室の壁に掛かる時計の針を盗み見て、


少し息をついた。




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