おでけけ ページ4
部屋に入る。
綺麗なお部屋だ。
「テレビ！」
「いいぞつけても」
リモコンのボタンを押してテレビをつける。
画面にはぼくたちが好きなスパイアニメの『ボンドマン』が映し出された。
「アーニャこれすき！」
『ぼくも』
「……」
お父さんは複雑そうな顔をしているけど気にしない。
早速面白そうなシーンのボンドマンを見ていると、お父さんが出かけると言い出した。
「ぼうけん！」
と言ってあーちゃんがお父さんの足にしがみつく。
足を振りほどいてもなかなか離れなかったから、仕方なしにあーちゃん、それからぼくも買い物に行かせてもらうことになった。
外に出てまもなくあーちゃんが人混みに揉まれる。
それを追ったぼくも、お父さんから離れてしまった。
そしてはぐれないよう手を繋ごう、ということでお父さんと手を繋ぐ。
すると心を読んだらしいあーちゃんが、突然お父さんから離れ辺りを見回したり、隠れたりし始めた。
「……何してる？」
「けいかい」
どうやら、敵と聞いて敵襲に備え警戒しているらしい。
お父さんがどんなこと考えてるのかぼくにはわからないけど、スパイらしいかっこいいことなんだろう。
すると、あーちゃんが好きなものと嫌いなものを話し始めた。
「アーニャぴーなつがすき。にんじんはきらい」
「ん…？うん…」
テレパシーで聞いてみると、ぼくたちを知ることで世界が平和になるらしい。
よく分からないけどあーちゃんが必死なのでぼくも自分について話す。
『ぼくもピーナツがすき。にんじん食べれるけど、ピーマンはきらい』
「…？？」
お父さんは心底不思議そうだった。
「アーニャカリカリべーこんすき」
「ベーカリーはカリカリベーコンて意味じゃないぞ？」
「」
ある店にて。
「これください」
「1ダルクの物は10ペント硬貨じゃ買えないぞ？」
「」
…あーちゃん、おばか。
"アーニャたち、すてられる…！？"
『！』
……ぼくたち、捨てられる！？
「すてたらやぁーーっ！！」
「！？どうした急に！？」
あーちゃんがポロポロと涙を零したのにぼくも便乗。
『ぼくらお買い得だよ』
「？？」
二人でわんわん泣いていると、お父さんはぼくたちにピーナツを差し出した。
「これやるから泣き止め」
『「ぴーなつ！」』
なんか得した気分！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 23人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
