であい ページ2
ぼくはA。
孤児院に住む、ごく普通の少女。
「アーニャ、たいくつ〜」
こっちはぼくの双子の姉のあーちゃんことアーニャ。
あーちゃんも、ここで一緒に住んでいる。
ぼくたちは平凡だ。
ちょっと、心を読める能力とテレパシーを使える能力を持ってるだけの――ごくごく普通の人間。
心を読めるのはあーちゃんで、テレパシーが使えるのがぼく。
テレパシーといっても、ぼくはあーちゃんにしか使ったことがないし、他の人に使うつもりもないけれど。
この能力は、人にバレてはいけない。
それだけ気をつけている。
この超能力は、というかぼくたちは、ある組織の実験で偶然生みだされた。
ぼくたちはそのあと施設から逃げ出して、色んなところを転々として保護してもらえるところを探した。
何度も戸籍が変わった。何度も親が変わった。
そのうちぼくは希望を捨てるようになったけど、あーちゃんは違った。新しい親を見つける度、素敵な未来を想像してた。
はやく、その想像通りな、素敵な日常が来てほしい。
そう願ってたところに、天から光が差し込んだ。
ある時、知らない男がやってきた。
優しそうな人。
この人もこどもを探してるのかな。
「!」
すると、あーちゃんがぼくに耳打ちしてきた。
「えすたりすいちのすぱい」
そう言ってあーちゃんは小さくあの人を指差した。
『スパイ………?』
あーちゃんは心を読んだらしい。
「おい、A!」
スパイ、について考えていると、突然名前を呼ばれた。
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