美しくて強い特待生 (ページ10)

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8.隣の先生ページ10

本を読んで、ノートに書いて、の繰り返し。
気づけば3日間が経っていた。
今は22:00。夜遅いから食べるのも憚られるけど、食べなきゃ死ぬ。健康こそ美への第一歩だというのに。

『私の悪い癖だ…過集中癖なおさないと……』

3日間、何も飲まず食わず、その上睡眠も取らなかった体は限界がきていた。

なんとか壁を伝いながらたどり着いたドアを開けるとそこには白と黒のふわふわのコートを着た人が立っていた。

『わ…うつくし………』

判断力が鈍り声をかけてしまったが、立つのが限界でしゃがみ込む。
すると、そのふわふわした人が駆け寄ってくる。

クルーウェル「大丈夫か？」

『あ…ごめんなさい、過集中しちゃって3日間寝ず食わずだったもので……。』

嘘偽りなく言うとその人は目を開きながら、私を持ち上げる。
　

『え、どこに…』

すると私の隣の部屋に入って行った。

クルーウェル「bad girl！そんなんじゃ一ヶ月持たないぞ、これからご飯の時間になったら呼ぶ。

そしてここはクルーウェル様の部屋だ。食べ物は持ってくるから横になっておけ。」

『クルーウェル…さま…？』

クルーウェル「good girl！魔法薬学の教師だ。わからない方があったら俺に聞け。」

　

そうだよね、教員寮に住まわせてもらってるから隣の人は先生だよね。

そのままゆっくりベッドに降ろされ、あたりを見渡す。

『私の部屋とまるで違いますね。』

クルーウェル「あぁ、自分好みにカスタマイズしているからな。」

ふわふわのコートをハンガーにかけ、胸ポケットに入っていたペンで宙に文字を書くとあったかいうどんが出て来た。

『え…！？！？今の魔法ですか……？』

クルーウェル「そうだ、仔犬も練習すれば出来るようになる。」

『はやく使いたいなぁ…』

クルーウェル「明日なら教えてやろう。まずはこれを食べて寝る事だ。分かったな？」

『ありがとうございます』

そうしていただいたうどんを食べきり、ベッドに寝かされる。
あれ、ここ先生のベッドじゃ……

申し訳なさで起きあがろうとしても動かない。

あっ………もう限界…………

赤と黒を基調にした部屋に小さな呼吸が響く。

クルーウェル「寝たか…。無理は厳禁だぞ？lady？」

そっと頭を撫でてソファに座る。

クルーウェル(にしても、会って1番に言われた言葉が、
「美しい」か……くくくっ…いい仔犬だな。)