【d!】キルミーベイベー！【kn】 (ページ1)

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Day1 ページ1

窓から差し込む西日が教室をオレンジ色に染めあげる。そんな中で私は日誌の名前を書く欄に、自分とコネシマくんの名前をシャーペンで書き入れた。普段ならば、気にも留めないようなシャーペンの芯と紙の擦れる音が、静かなこの部屋ではやけにハッキリと聞こえた。私は右手を止めた。

『…こうして並べて名前を書くとなんだか夫婦みたいだと思わない？』

「……思わんな…」

コネシマくんは「真面目な顔で何言い出すかと思えば…」とぼやいた。

今日から一週間が始まった。ここの学校では日直ならぬ週番という制度がある。仕事の内容は日直とほぼ同じで、授業が終わるごとに黒板を消したり、日誌にその日の出来事を書いたり、教室の戸締りをする。ただ違うところといえば、一日ではなく一週間それを続けることだ。週番は出席番号順で上から二人ずつでペアとされる。

『ねぇ、コネシマくん』

そして今週は、出席番号が前後の私とコネシマくんに順番が回ってきた。私が日誌を書いている机を挟んで、退屈そうに座っているのがコネシマくん。ちなみに私の想い人である。

『コネシマくん聞いて』

私の問いかけに対して返事が無いため、再び声をかける。日々コネシマくんに猛アタックをしては、見事に惨敗している私は、もはやこのくらいのことではへこたれない。強靭な心を手に入れてしまったのだ。

「…内容による」

『あのね、昨日の夜眠れなかったからコネシマくんの好きなところに順位つけたの。ちなみに30位までに絞った』

自慢気にふふんと笑ってコネシマくんを見ると、その表情はあからさまに引いていた。あ、その顔は。

「ハァ……」

『ハイそれ！！その目！！汚いものを見るような視線！！16位にランクイン！！！』

「うっさい殺すぞ」

『本望ッ！！！』

「…ほんまお前アホちゃう？」

何だかんだ言いながらもコネシマくんは私が日誌を書き終えるまで待っててくれて、最後には二人で教室の戸締りをした。しかもコネシマくんはこれから部活があるというのにも関わらず、だ。

はぁ～～コネシマくんが尊い。コネシマくんをこの世に産んでくださった彼のお母様とお父様に御礼を申し上げたい。ありがとうございます！

「何拝んでんねん」

『今コネシマくんがこの世に産まれた奇跡に感謝してるの』

そう言うとコネシマくんは「救いようのないアホやな」と行ってしまった。