不毛ゆえに盲目 (ページ8)

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俺の好きな人は、俺じゃない人が好きらしい。

淳太センパイをすきになったきっかけは正直よく覚えていない。
気づいたら好きで、虜になっていて、この人のことを俺の恋人にしたいと強く思うようになった。

構ってほしくて、意味もなく絡みに行ってはウザがられ、それでもへこたれずに淳太センパイに絡む俺は冷静になって考えるとちょっとキモイ。

どんな風に好きな人と絡めば良いのか分からなかった俺は不器用な絡み方で若干センパイから嫌われとって。
自分の行動に後悔した時には既に遅くて、もう今更何やっても無駄やろうなと思いつつ、どうしても諦められへんかった。

好きになってほしい、俺のこと恋愛対象として見てほしい。
ただの後輩やなくて、オトコとして意識されたい。

その欲求は日に日に強くなっていくわけで。どうしようかなと思いを止める方法を知りたくなっていた折、淳太センパイの機嫌がすこぶる悪くなった時期があった。

それがまさか、失恋(・・)したからやなんて。

考えもせんかったわ。
まず、淳太センパイに好きな人がおったことがビックリやし。

〝「しかもその相手のこと好きになったらライバルやな言われてさ、おもろい奴よな。俺が好きなんはお前や言うのに」〟

せやのに。

その一言は、もしかしたらセンパイの好きな人は男性なのかもしれないと思うもので。

センパイ→センパイの好きな人(男)→センパイの好きな人の好きな人(女)なんやないかって。

この方程式が成り立つ可能性を考えては、センパイを好きな人の矢印に俺が組み込まれるんかと笑ってしまう。

一方通行すぎて何も報われない。

「小瀧はさぁ、好きな人とかおらへんの？」
「俺っすか？俺は……」

あなたが好きです！
なんて、嘘でも言えたもんやなくて。

いないですよ、なんて誤魔化しが通用するとも思えないけど。

「おると思います？」
「うわ、めんどくせ。もうええわ」
「わーちょ、嘘ですって〜！おりますおります」
「え、おんの？誰？」

ずいっと近づいた距離に、ふわと鼻を掠めた甘い匂い。

「…センパイ、香水つけてます？」
「ん？…ああこれな」

顔を顰めたセンパイを見て、選択を誤ってしまったかもしれないと思う。