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「…淳太って、神ちゃんと仲ええんや」
土日を挟んだ月曜日、今日は俺たちの当番の日だった。
仕事をし始めて約2分がたった頃、流星が口を開いた。
きたか、と思った。
確実に聞かれるであろうと思っていたからそこまで驚きはしなかったけど、案の定で少しだけ切なくなる。
流星の言葉に、顔を顰めそうになりながら頷く。
「せやな、幼なじみみたいなもんやな」
「へぇ、」
「羨ましい？」
ワザとカマをかけた。
流星はすんなりと頷く。
ちくと痛む胸に気付かないふりをして続けた。
「そっか…まぁ流星の好きな人神ちゃんやしな。俺のこと羨ましいか」
「…ん、せやな」
せやな、なんや。
すんなり認めるんや、流星別に俺に隠す気なんてなくて…。
「えっ！？」
急に流星が大きな声を出すので、驚きで本が手から滑り落ちた。
「びっ、くりした…どしたん、」
「え、や、え？なんでわかって」
流星がついに認めた。
なんだか泣きそうになりながら、俺はなぜか笑っていた。
反応が遅い、ワンテンポ人より遅れる流星が顔を出したからかもしれない。
「やってこの前会った時明らかに敵意向けられたし。神ちゃん見とる時の目がガチやから、そうなんかなぁって。この前好きな人おる言うてたし」
わかりやすいなと思ったあれがやっぱり好きだったがゆえのものだったんだとわかると、さらに苦しくなる。
「…バレた？」
「っは、バレるバレる」
「……神ちゃんのこと、好きやったりせんよな？」
じぃと真剣な眼差しを向けられると本当に好きなんだなと思ってまた胸が苦しくなる俺のことなんて、流星は知らない。
知らなくていい。知らないでほしい。
俺が流星を好きなこと。
「……好きちゃうよ。友達いうか、人としては好きやけど、恋愛対象じゃないから」
流星は俺の言葉に安堵したようだった。
「…もし神ちゃんのこと好きなったら教えてや」
「えっ」
「その時は正々堂々と戦いたいし」
何を考えているのか。何を不安に思っているのか。
俺が神ちゃんを好きになることはない。
だって俺が好きなんは流星やから。
「正々堂々もクソもないわ。神ちゃんのこと好きになることないから」
「わからへんやん、神ちゃん可愛いし」
「…ないって」
まあたしかに可愛いけど。
恋愛感情を抱くことなんてない、有り得ない。
でも流星はそんなこと知らないから、きっと一生知る由もない。
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作者名：塘 | 作成日時：2024年3月22日 21時
