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家に帰っても姉はまだおらず、部屋は暗いまま。
Aは電気をつけて「ただいま」と言うが勿論返事はない。
自分で選んだことだから仕方の無い事だけど、誰もいない家に帰ってくるのは少し寂しい。
「仕方ないよ」
あの学校には戻れない。
Aは椅子に座り込み右ひざを撫でる。
普通の生活には支障ない。
けれどもう、バスケはできない。
「Aっ」
飛んでくるのはオレンジのボール。
Aはそれを受け取ると一度だけ床にバウンドさせるとゴールを睨む。
それから軽快にステップを踏んで、ボールを外から回してレイアップ。
目の前にはファール覚悟で突っ込んでくるディフェンス。
けれどスピードに乗ったAは止まることなんて出来なくて。
ダンッと床に打ち付けられ右ひざに激痛が走る。
「Aっ！大丈夫？」
「…つ、平気、行こう！」
試合を諦めるわけにはいかない。
士気を落とすわけにもいかない。
だからAは走り続けた。
大会が終わるまで。
終わりは呆気なかった。
走れないAはベンチで右ひざを抱えて応援するだけ。
病院に連れていかれた時、
「普段の生活には支障ありませんが、」
それから先、医者が何を言ったのかなんて覚えていない。
『いつ復帰できるの？』
『新人戦は？』
お見舞いに来るチームメイトの台詞が胸に刺さる。
それでもバスケ部は辞められなくてマネージャーとして残った。
『A応援してくれるだけでもいいから』
『Aみたいに上手じゃないけど…』
『足大丈夫？座っててもいいのに』
そんなチームメイトの気遣いが辛くて悲しくて。
Aは逃げ出した。
周りのみんなには嘘をついて、転校という形で。
「…なんで」
彼は気付いたのか。
誰も気付かなかったのに。
それにあのキス。
どこまでも優しくて、甘くて、いつまでも触れていたくなるような。
チャポンとAは頭まで湯船に浸かり、バサッと顔を出すと何度も唇を拭った。
忘れよう。
あの時、私の精神状態は普通じゃなかったんだ。
それに彼は誰にだってキスするような人。
だから、忘れよう。
そう思いながらAは両手で頬をパチンと叩いてお風呂を後にした。
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あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます！！！ジュノンくん最高！！！！！ (5月23日 21時) (
レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、！ (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 | 作成日時：2023年5月18日 20時
