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「Aちゃん」
綺麗な声に少しだけ顔を上げるともう片方の暖かい手もAの顔を覆う。
見えるのはオレンジに染まる彼の顔。
それがあまりにも綺麗で、近付いてきて拒むことなんて出来ずにぼやける視界。
それはきっと彼のせい。
だから、瞳から涙を追い払うようにゆっくりと目を閉じた。
けれど零れる涙は頬を伝うことなく彼の唇に吸い込まれていく。
優しくて温かい唇。
彼の唇が頬から離れた時消えていくぬくもりに、思わず彼のシャツを掴んでしまった。
ダメだ
そう頭の中では思っているのにまた近付いてくる彼の唇は柔らかい。
零れる涙を何度でも掬い取ってくれる唇に、ゆっくりと目を閉じた。
そして、優しい唇がAの唇を掠めて。
Aの肩はビクッと揺れる。
すると一瞬止まった唇。
だけどシャツを掴む手に少しだけ力を入れると、もう一度優しい唇がわずかに触れた。
「……せん、ぱ、い」
どうして？
そう聞きたいのに唇が言葉を紡いでくれない。
涙を掬ってくれた唇があまりにも優しくて、勘違いしそうになる。
彼の手がAの両肩に置かれると身体はグイッと引き離され、失う温もりにAは目を上げて見上げた。
「A！」
すると、バンッと勢いよく開いたドアからAを呼ぶ声。
その音と声に心臓はドクンと音を立て、跳ねるように彼から離れて振り向くと少し息を切らせながら歩いてくるソウタの姿。
「部長、Aにまだなんか用すか？」
「いや？」
少し喧嘩腰のソウタに樹音先輩は薄く笑いを浮かべてそう答えると、ソウタはいきなりAの右手を掴んだ。
そんなソウタに驚いてAは急いで頬の涙を拭い、
「な、なに？」と声をかけるとソウタは笑う。
「帰ろ」
見られていなかったのかな。
そんなことを思いながらソウタの顔を見るが、ニカッと笑うその顔はいつもと変わらない。
だから少しホッとして息を吐くと、後ろからフッと乾いた笑いが聞こえ、Aはその主を見上げた。
「Aちゃん、戸締りは俺がしとくから」
そう言って彼は綺麗な手をAの前に差し出した。
「あ、でも」
高橋先輩に頼まれたのは自分で、やると言ったからにはちゃんとやりたい。
いや、そんな事じゃなくてさっきのキスの言い訳を。
「鍵、高橋先輩にも頼まれてるから」
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あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます！！！ジュノンくん最高！！！！！ (5月23日 21時) (
レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、！ (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：星 | 作成日時：2023年5月18日 20時
