・ ページ30
・
次の日から炊飯器のスイッチを忘れることも無く朝早く起きてお弁当を作る。
だから購買に行く必要もなく、彼に会うのも部活だけ。
「ソウタっていつもパンだよね」
学校にも慣れてきた頃、パンをかじりつくソウタにそう聞けば彼は「育ち盛りだから」とニカッと笑う。
「弁当は2時限目終わった後に食っちゃうんだよな。朝練やると腹減るじゃん」
だからお昼は売店のパンとコーヒー牛乳。
「育ちすぎでしょ」
「お前は全然成長しねぇな」
マユの言葉にそう返せば、「はぁ？」と叫んで彼の焼きそばパンにかぶりつく。
そんな二人の言い合いはいつもの事で、その隣でAが笑うのもいつもの光景。
そして、放課後になれば部活の時間。
「あー、部活前って腹減るよな」
「お昼がパンだから余計お腹空くんじゃない？」
Aがそう答えるとソウタも「そうかも」とお腹を押さえながらそう返す。
「お昼のお弁当、作ってあげよっか？」
「「えっ？」」
右手にぶら下がるマユも一緒に声をあげるからAは少し驚いて「あっ、ついでっていうか、」と言葉を濁すとソウタがニカッと笑う。
「マジ？Aの手料理？」
「毎朝一人分作るのも二人分作るのも変わんないから」
「A、自分で作ってるの？」
マユにそう聞かれ「う、うん」と頷くより早くソウタが「あざーっす」と右手を上げAに敬礼する。
「味の保証はしないよ？」
「絶対うまいって」
「おかずのバリエーションもないけど」
「卵焼きがあれば十分」
「冷食ばっかかも」
「それはー、愛情込めてチンしてくれれば」
嬉しそうにソウタが言うものだから、少し早まったかな？なんてAが思っていると隣から「…いいなぁ」なんて呟きが聞こえてくる。
「マユはいつも美味しそうなお弁当食べてるじゃん」
「Aの手料理が食べたいの！」
少し拗ねるようなマユの声にAは「じゃあさ」と提案する。
「明日、私のお弁当と替えっこする？」
「えっ、いいの？やった！」
こんな風に二人して喜ぶものだからAは頭の中は「明日のおかずどうしよう」なんて悩みがリフレインした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 159人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あいうえお - 解釈不一致なのに新しい道が開けたっていうか全て星様の文才によるものというか、ほんと面白いです、これからも応援してます！！！ジュノンくん最高！！！！！ (5月23日 21時) (
レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 天才すぎます、ありがとうございます、読み続けます、、、、 (5月23日 21時) (レス) @page1 id: 4e657aa584 (このIDを非表示/違反報告)
れい(プロフ) - 最近の中で一番好きな夢小説です、！ (5月22日 23時) (レス) @page35 id: 7c9597bb9e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：星 | 作成日時：2023年5月18日 20時
