ボーダー隊員は呪いの世界へ (ページ30)

今日:14 hit、昨日:0 hit、合計:1,629 hit

呪霊29匹目ページ30

･
「憂太、ありがとう」

里香は憂太を抱き締めながら、今までの事を感謝の言葉を言う

「時間もくれて、ずっと傍においてくれて。里香はこの6年が生きてる時よりも、幸せだったよ」

憂太を離して、里香は私の所に来た

「千尋、千尋もありがとう。憂太を励ましてくれて、私に沢山の歌を歌ったり、物語を聞かせたり、お喋りをしてくれてありがとう。憂太と私を支えてくれてありがとう」

「そんな、私こそ有難う。里香がいっぱい聞いてくれて嬉しかった。里香と一緒にいた時間は楽しかったよ」

「そっか…何でもかんでも、独りで抱え込んじゃダメだからね？」

私よりも小さな女の子に心配されるなんて、どんだけ私は周りに心配をかけているんだろう？

「また会えたら、お友達になってくれる？」

「そんなの、勿論に決まってるよ」

そう言えば、嬉しそうに里香は笑って憂太の所に向かった

「バイバイ、元気でね。あんまり早くこっちにきちゃ、ダメだよ？」

「…うん」

「またね」

最後、憂太にお別れの挨拶を言ってから、里香はシャボン玉と共に空へと行った

「今更だが、夏油の件、君に非はない。勿論、千尋もね」

気付いてたんだ、私が負い目を感じているって

「憂太や千尋がいなくてもアイツは必ず高専(ココ)にきた」

「ですかね…」

「それからコレ！」

「あ、学生証。先生が拾ってくれたんだ」

「いや、僕じゃない…僕の親友だよ、たった1人のね」

ふぅん、親友(･･)…ね。そう思っていたら、門の前に真希達が既に待っていた

「オラ憂太、千尋！いつまで、待たせてんだ!!」

嗚呼、いつもと変わらない日常が確かにそこにあった

「行くぞ」

神様、もし私の願いを聞いてくれるのなら叶えて下さい。ここにいる人達を、どうか幸せにしてください

「千尋ちゃん、行こ！」

私の人生や命、この身体がどうなろうと構いませんから。今だけは、穏やかな時間を壊さないで下さい

「うん」

･