ボーダー隊員は呪いの世界へ (ページ22)

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呪霊21匹目[乙骨side] ページ22

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「ん、此処はって！」

「お、起きたか。静かにしろよ、今嬢ちゃんが寝た所なんだから」

目が覚めたら、目の前に千尋ちゃんの顔が近くて驚いて声を上げると、前の方から声がして慌てて口を閉じた

「え、えっと、「車の中だ」…あ、はい。その、任務は？」

「終わっているぞ、嬢ちゃんが祓った」

「そ、そうですか」

記憶を掘り返すにも、呪霊に絞められた後の記憶がなく、一体どうやって此処まで来たのか分からなかった

「嬢ちゃんがさ、気絶したお前を運んで来たんだよ」

「千尋ちゃんが…」

僕、情けないな…里香ちゃんの呪いを解くって決めたのに、女の子に助けられるなんて

「あれだ、あんま気にすんなよ。特級、今回が初めてだったろ？なら、次を頑張ればいい」

「はい」

「…嬢ちゃん、お前の事を心配していたよ。それこそ、気に病んでいた」

「え」

あの千尋ちゃんが？

「嬢ちゃんが、勘が鋭いのを知っているだろ？」

「はい」

「今回、油断をしていた所為か、自分を攻めているんだ」

そんな、そんなの千尋ちゃんの所為じゃないのに。捕まった僕が悪いのに

「例え、お前が悪いと思っていても嬢ちゃんは思わない。寧ろ、自分を攻める。皮肉だな、嬢ちゃんは自分の手が届く範囲を全部救おうとしている」

「でも、無理じゃないですか？全部を救おうだなんて」

「そうだな。でも、嬢ちゃんには直感がある。それがある限り、人を見捨てるなんて出来ないんだよ」

会話はそこで終わり、次の日学校に来れば千尋ちゃんは来ていなかった

「あれ、千尋ちゃんは？」

「知らない」

昨日の任務の疲れが出ているのかと思っていたら、2日目も無断で欠席していたので流石に心配した

「あ、あの！先生！」

「ん、なぁに？憂太」

「千尋ちゃんは？」

廊下で歩いている五条先生を見つけて、千尋ちゃんの事を話しかければ

「あー、千尋、今反省中」

「えっ!?」

「というか、布団に引き篭っているの」

詳しく聞けば過去にも一度あったらしく、その時も自分自身を攻めて布団に包まっては1人、反省会をしていたと言うこと

「気になるなら、明日、千尋の所に行けば？」

という事で、次の日千尋ちゃんの所に向かおうとしたら、学校を出ていく千尋ちゃんを見て急いで追いかけた

「あ、いた！」

必死に走って千尋ちゃんを見失わないように追いかけると、公園のベンチに座ってボーと空を眺めていた。その姿は今にも消えそうで僕は叫んだ

「千尋ちゃん！」

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