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___年__月__日。____
楓坂Aファーストライブ
再生します。
無機質な女性の音ともにそれは再生された。
それと同時に眩しいくらいの照明と爆発音と同時にキラキラした衣装をまとった女性が飛び出てきた。
『物好きどもー!!元気してるか?初ライブ見にきてくれてありがとう!正直めっちゃ緊張してるしトイレ行きたくて仕方ねぇけど、みんな長い間待ってたと思うから歌うよ。えっ、待ってない?誰だ言ったやつ、あたしとレスリングでもしたいんか???お?』
会場は笑いに包まれて、和やかな雰囲気になっていた。客席の動員数を見ると、初ライブにも関わらず満員御礼で、年齢層がバラバラ。彼女は緊張していると言っていたが、そうには見えなかった。
慣れたMCに、最高のパフォーマンス。
『おい、瞬きせずにこっち見てろよ?うっし、愛してるぞ。みんな』
その言葉にファンはどっと歓声と悲鳴をあげた。日和自身も自分に言われたはずではないのに、映像が自分だけに愛を語ってくるようで「ひゃっ……」と声を上げてしまった。
声がいいし、何より顔も良い。これで女性なのかと言われれば疑うが、実際見てみれば分かるだろう。
初ライブで、しかも1年生とは言えないパフォーマンスにその歌声。ファンがハマる理由もわかる、これはスナック菓子のようにハマるアイドルだ。
親しみやすく、なによりキラキラと星のように輝きを放つ。そんな存在は皆に愛されて当然。
絶賛日和も、その魅力にハマりかけている。
「日和くんの言葉で言えば………これは推せるのかな?」
背後から声がして振り向くと、愛らしく寝ていた凪紗が目を覚まし映像に釘つげになっていた。
「な、凪紗くん!!?起きてたの!?」
「うん、ごめんね。実はずっと起きてたよ」
「えっ、悪い日和!!!!!」
あんな姿を凪紗くんに見られるなんてと恥ずかしくて顔が真っ赤になったが、凪紗くんは口を閉ざさずに
「あの子、とっても気持ちよさそうに歌うね………ふふっ、いつか……ううん、歌ってみたい……あの子と」
凪紗が自我を出すのは滅多になく、こんなに感情を出したのは日和も初めての事だった。
映像なのにまるでそこにいるように歌う彼女に凪紗君は気持ちよさそうにその歌声に合わせて歌っていた。
それを見て日和は確信した。もう、ここにいるべきではないのだと。
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死柄木朧(プロフ) - ナギナギの漢字違いますよ。正しくは凪砂です (2022年8月14日 22時) (レス) @page27 id: d2d08f032a (このIDを非表示/違反報告)
璃胡(プロフ) - めっちゃ心が死にかけてバクバク音鳴らしながら見てましためっちゃ続編楽しみにしてます!!!!!!! (2021年10月7日 21時) (レス) @page50 id: 22b34aab1f (このIDを非表示/違反報告)
伊弉冉アリスさぶ - 続編おめでとうございます!照明が落ちてきたときはドッキドキして続きを待っていましたが、ちゃんと生きているようで。良かったです… 続編、お待ちしております! (2021年10月7日 20時) (レス) @page50 id: c2abd4fe86 (このIDを非表示/違反報告)
氷翠(プロフ) - マジで泣きました。続編も頑張ってください。楽しみに待ってます!! (2021年10月7日 19時) (レス) @page49 id: c0d88fed6a (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - すごい小説にひきこまれました。楽しみに待ってます。 (2021年10月4日 18時) (レス) @page44 id: 30bd05b899 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠璃亭 x他3人 | 作成日時:2021年9月19日 17時