ちゃっかりさんと彼女さん3 (ページ9)

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鷲掴み③ ページ9

アイクさんの作ったカルボナーラを
机まで運び、向かい合って座る。

『…本当に美味しそう』

ア「ふふふwじゃあ、食べましょうか」

『いただきます！』

どうぞーとアイクさんが小声で言った。
…新鮮だなぁ。

まだ湯気がでているパスタをフォークで巻き
口に運ぶ。

『美味しい…』

思わず声が出てしまった。

ア「…よかった」

顔をあげると、私が食べるところを
ずっと見ていたらしいアイクさんが
笑っていた。

『食べないの？美味しいよ』

ア「食べますよ…なんか緊張しちゃってw」

え？

『私に毒味させたの？？』

ア「違いますよw」

『なんの緊張？』

ア「やっぱり、美味しいって言ってもらいたい
じゃないですか」

そりゃそうか。

その気持ちはとても分かる。
私も毎回アイクさんの口にあうかなぁって
考えてしまう。

そういえば…

『結局、なんで急に料理したがったの？』

ア「…笑いませんか？」

『うん。』

たぶん。

ア「胃袋を掴もうと思って」

『…え？』

ア「だから！…Aさんに
自分のこと好きになって貰えるように」

最後の方は小声になりながらそう言った。

てか…

ん？

『もうとっくに好きだけど』

付き合って何年経つと思ってるんだ。

ア「まぁ。そうじゃないと困るんですけど、
なんというか…」

『うん。』

ア「俺のこと、もっと好きになって欲しいなって」

そう言って照れたように笑うアイクさん。

『…破壊力がすごい。』

ア「え？」

これ以上ないくらい好きなのに。
もっと、って

本当に欲張りになったなぁ。

『なんでもない。
…ほら、せっかく美味しいのに
冷めちゃうよ』

ア「そうですね、食べましょう」

『うん。…また、作ってくれる？』

そう聞くと、アイクさんが優しく笑った。

ア「もちろんです。」

きっと、胃袋どころか
私はもう五臓六腑を
アイクさんに鷲掴みにされているのだ。