八話 ページ8
とにかく練習をする他、僕たちにできることはないから、いつもみたいに練習をした。その間も栗山くんはずっと僕たちを見ていた。
これはちょっと……入ってくれるって期待してもいいのだろうか？
「ありがとうございました！」
部員がサイドラインに一列に並んでグラウンドに頭を下げた。僕たちの部活はこの一礼で終わる。
部活が終わった後は各自自由に解散。部室で着替えてもいいし、着替えず帰っても何ら問題なし。だってこのユニフォームは、強豪の証。制服より断然こっちのほうが見せても恥ずかしくなかった。
……でもそれは、去年までの話。
みんな気持ちは同じらしく、今着ているユニフォームには自信がなかった。他校の人たちや地域の人たちに見せられなかった。
「そういや聞いたか？天高、去年の十倍近く入部希望者が殺到したんだってよ」
「うへ〜。俺らと真逆か」
部室で汗臭い男たちが制服へ着替える。何だか冷静になって見てみればむさ苦しい光景だ。マネージャーも辞めちゃって、部室に出入りするのはみんな男だけ。これはちょっと悲しいかも。
「はぁ……何で辞めちゃったんだよぉ。ゆずちゃぁぁぁぁん！！」
「そればっかだな、山本」
「ゆずちゃんは俺の心の支えなの！日本一の美女を決めるコンテストで優勝するほど美人だし。それに優しいし。頭いいし」
面食いで、あまりサッカーに興味ないと自称する山本蓮が言っている”ゆずちゃん”。ゆずちゃんこと藍原柚華ちゃん。二年生で、本当に可愛げのある子。
僕たちの癒しのマネージャーだった。
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作者名：しげの2号 | 作者ホームページ：
作成日時：2016年11月28日 22時
