天下無敵の敗北 (ページ7)

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七話ページ7

体を180度回転させ、サイドラインの向こうに雑に置かれている自分のバッグのファスナーを下ろした。タオルや水筒などを掻き分けて、奥に押し込まれているファイルを取り出した。
その中に挟まれているのは、四つの退部届。
サッカー部員は、退部する時にまず退部届を書いてキャプテンに渡さなければならない。そしてキャプテンから先生に渡れば受理される。

今僕の手にあるということは、まだこれは受理されていない。

かと言って渡さないのかと聞かれると、そんなつもりはない。そんなこと、毛頭ない。

「ねぇ、これ七つ集めたりしたら願い叶うかな？」

くるりと振り返って笑いながら言った。不謹慎かもしれないけど、そうでもしなきゃ僕はここで倒れてしまう。

「……佐伯」

「あ。キャプテン、あれ」

鈴木が他所の方を指差した。その方角に目をやると、彼がいた。例の彼が。

「栗山だ」

「なーんか妙に気に入られてるなぁ」

「は？どこが」

「お前ホント馬鹿だな。歓迎会ん時、あいつがいたから俺ら助かったんだぜ」

「へぇ」

確かに栗山くんはあの時助けてくれた。それが偶然なのか故意なのか知らないけど、どちらにせよ僕たちにとっていいことなのは確かだ。
どういう意味があるのだろう。