天下無敵の敗北 (ページ26)

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二十六話ページ26

次の日、授業を終えて荷物を持って部室に向かう。そこで僕たちはある異変に気づいた。誰もいないはずの部室に近づくに連れて声が聞こえてくる。
背中がゾッとした。思わず後ずさりをしたけど、うしろには見てこいと訴えるメンバーたちの目。

こういう時、つくづくキャプテンというものは嫌だなぁと思う。
意を決してドアノブに手をかけてゆっくり回す。

「ちょっ、やめぇ！！」

ひぃっ、と情けない声が出る。それでも僕の手は止まらない。ガチャっと勢いよくドアを開ける。

するとそこにはーーーー

「離せって！おいこら！！何すん……っ」

「大人しくしてよ、ゆうちゃん」

「おまっ、ゴルァ！！」

……僕はそっとドアを閉めた。
何があった？とみんな聞いてくるけど、とてもじゃないけど僕の口からは言えなかった。特に山本には。

しばらく膠着状態が続いたが、しびれを切らした神楽坂くんがドアを開けた。するとみんなが食い入るように中を見る。

「こ、こら……っ、アンタなぁ！ええ加減にしぃってホンマに！」

「んふふ。あ、こんにちは。使わせてもらってます」

魔性の女とはまさに彼女のことを言うのだろう。だって、普通はあったとしても立場は逆のはずなんだ。
男が女に組み敷かれるなんて、どこのお話だろうか？