天下無敵の敗北 (ページ2)

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二話ページ2

あれから、年が変わった。三年の先輩方は卒業して、それぞれの道へ旅立った。僕は、キャプテンに指名された。あの日も、キャプテンは謝っていた。

僕が通う日向高校は、サッカーの名門校として全国に知られていた。サッカーだけが、学校の救いだった。
名門校という看板とは裏腹に、学校は経営難に陥っていた。年々減っていく入学生の数。定員割れはもはや名物となっていた。そんな学校に、部活に回せる費用があるわけもなくて。
サッカーが有名になってからは、学校はなるべくサッカー部に費用を回していた。それもあり、部活動はいくつも廃部していく。

費用を食って生きていく僕たちに向けられる生徒の目は決して良くなかった。

いわゆるバカ校だから、周りの支援も乏しく、毎年廃校の噂が絶えない。

そんな不安な一年がまた始まる。どんなに不穏な場所でも、淡い桃色の桜は平等に咲いてくれる。僕たちにも、春はまだあった。

「佐伯ー！クラス、どうだった？」

「三組」

「あー、じゃあ離れたな」

サッカー部のエースで親友の、足立健斗。茶髪で校則を破りまくるほどのバカだけど、根は本当に優しい。それは他校のエリートたちをも魅了するほど。顔もいい。何度かスカウトも受けたことがある。

「俺五組。たっちゃんと同じだぜ」

「よかったじゃん」

「あいつ消しゴム貸してくれないんだよなぁ」

「そろそろ買ったらどうなの？安いし」

足立は、消しゴムを買わない。