彼女 【shp】 ページ5
パシャリ。
一室にシャッターを切る音が響いた。ベットには寄り添って座り込む男女が二人。男は、その写真をみて微笑を浮かべた後、ベットに投げ捨て煙草をふかした。特有の臭いが立ち込め、有害物質が空気中に充満する。
「明日は雨かもしれへんな」
つぶやいた言葉に、にこりと微笑むだけで彼女は何も発さなかった。割れた花瓶からぴちょんと水滴が滴った。その顔をみて満足げな表情を浮かべた茶髪の男は彼女を抱き寄せて鼻歌を歌った。
「怒ってんの？」
ある日、女が男に馬乗りになって首に手をかけていた。その薄く白い手は少しばかり震えていた。男は紫眼で女の顔を一瞥してからまたしても死に直面している状況にも関わらず笑みを浮かべている。女の光のない瞳がカッ、と見開かれそのままの表情のない顔で男をただひたすらに見つめ続けていた。
「つれてってくれてもええで」
男が女の手に己の手を重ね合わせ愛おしげに言葉を紡いだ。
「今度こそ、Aと一緒にいられるなら、いい。」
ぼろりとAと呼ばれた女の瞳から涙がしたたる。
「おしゃべりやったのにな。そのせいで、口喧嘩になってつい俺が
カッとなっちゃって…お前が化けて出てきてくれるまでちょっと後悔してたんやで」
女の表情が歪んでいくのと反比例して男の顔は愉快なものに、恍惚とした表情に変化してゆく。体を起こしてそっと触れるだけのキスをして男は笑顔を浮かべた。
「無口なAが好きやで」
───
花瓶が割れているのはなぜか。
彼女が喋らないのはなぜか。
考えるだけで背筋が凍る。
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り〜。 - ストーリーが毎回凄くて、短編で読みやすくて飽き性の私でもスラスラ読めました！！なぜ延びないのかとても不思議です。こんな凝った話を作るなら100大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (3月14日 9時) (
レス) @page27 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
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