隣人。 [長編] ページ25
パッパー！と軽快なクラクションの音が鳴り響く。
そして爆発音も。もはや日常となったこの町の荒れようといったらなかった。ここはニューヨーク。治安は荒れに荒れており、犯罪者が蔓延る町となってしまいつつあった。治安を守る警察がいて、あとすこしほかの世界と違うのは─────
スパイダーマンがいるってこと。
そびえ立つビルの間を縫うように軽やかに飛ぶ。その身軽さはさながら蜘蛛のようである。赤いボディスーツは鮮明に人々の目に焼き付くし、現れれば人々を安心させてくれる。当然彼は四六時中ヒーローをやっている、というわけではないのだ。学生だし、憧れの相手だっている。
「なにしてるの？」
「あぁ！？おい銃かせ蜘蛛野郎だ！！撃ってやる！」
暴走車の粉々に割れたサイドガラスに腕を引っかけて愉快そうに声をかける。余裕綽々といった様子でより犯罪者の怒りをかき立てた。悪態をついたかと思うと、隣の仲間から銃を奪い取り一発脳天めがけてうつ。それを交わしマスク越しでもわかるような笑い声と笑顔を一つ、
「前向いてないと危ない！じゃ俺は行くね！」
「前！前っ！！」
男が前を向いたときには時すでに遅し。蜘蛛の糸にすっかり絡め取られていた。車ごと。そしてスパイダーマンもすっかり退散していた。男は怒声をあげ窓ガラスをドン、と怒りのまま強打した。スマホが震えて、Aの名前がディスプレイに表示される。
『シャオ今どこにいるの』
「あー、あ屋上にいる」
『なぜ？』
「野暮用！また連絡する」
『ちょっ』
スパイダーマンの時はすっかり身元が割れてしまわぬように標準語で喋ることを心掛けていた。関西弁なまりなんてこのニューヨークじゃ一発でわかる。マスクをとって思いっきり伸びをする。そろそろ高校に向かうかとようやく高校へ向かって動き出す。高校に近づき始めたところでスパイダーマンが僅かな異変を感じ取った。
「君名前は」
Aが振り返る。振り返った背後には黒髪の薄桃の瞳をした男子生徒が立っていた。なんだか底知れぬ恐怖を感じて後ずさる。
『ごめんなさい。私急いでるの』
「うそついたな」
『！』
ガシッとものすごい力で腕を捕まれ思わず眉をひそめる。うそをついた。心当たりのないその憎しみの込められたニュアンスのことばに冷や汗がどっとふきだす。次の瞬間には悲鳴を上げそうになる。
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り〜。 - ストーリーが毎回凄くて、短編で読みやすくて飽き性の私でもスラスラ読めました！！なぜ延びないのかとても不思議です。こんな凝った話を作るなら100大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (3月14日 9時) (
レス) @page27 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
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