かなしい子 【rbr】 ページ1
「捨て子かぁ」
『…』
隅っこで擦り切れた着物を着て、傷ついた体を隠すように縮こまらせて、小さくして。その姿はまさしく小型動物のようであった。柿色の着物を身にまとう男は、子をつまみ上げ腕にしっかりと抱き止めた。ふるふると震える子供の頭を尖った爪で傷つけぬよう優しくなぜる。
「喰う気にもなれへんわ。大きくなって、そんでもう少し肉付きよくせな」
その男、人間ではない。鬼である。そのことを子供ながらに感じつつも、そのことについて疑問を表に出せぬまま何年もの月日が過ぎ、時が過ぎていった。鬼は老いない。姿形はそのまま現世に止まり続ける。それと反対に拾った子はすくすくと健やかに成長し、美しい娘へと姿をかえていった。街におりていって二人で慎ましく生活するための必需品を買いにゆく。二人で過ごせるのならなにもいらないと正直思っていた。
『ふふ、おかしな人。わたくしのことをいつお喰いになられるの？』
「そんな細い体じゃ食欲もわかんわ」
鬼の膝に頭を持たせかけて、青色瞳でこちらをみる娘にはぐらかすような言葉をかけて頭を撫でてやった。面部をした鬼の表情は窺えなくとも、少なくとも優しい表情をしているのだろうなァと考えるのである。
『お顔もいつか見せてくださいね』
「いつかな」
この生活か続いてゆくものと勝手に思っていた。
ある日娘がボロボロになって帰ってきた。着物ははだけ白い頬からは赤い血が滴っていた。鬼は駆け寄って娘に何があったのかと聞いた。しかし彼女はなにも言わなかった。
「人殺しの鬼に囚われているのだろう！可哀相に」
「危害を及ぼすやもしれぬ！そうと決まれば野郎ども！あの鬼を殺しにいくぞ！」
───
村人たちが刀を腰に携え、山を越えやってきた。めらめらと燃える松明を掲げながら。一つの家にたどり着き、足でドアを蹴破れば目の前に広がった惨状に人々は恐怖を覚えた。
───
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り〜。 - ストーリーが毎回凄くて、短編で読みやすくて飽き性の私でもスラスラ読めました！！なぜ延びないのかとても不思議です。こんな凝った話を作るなら100大変だとは思いますが、更新頑張ってください！ (3月14日 9時) (
レス) @page27 id: de8cd53295 (このIDを非表示/違反報告)
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