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会場内がざわざわと騒がしい中、ユウは困った表情を浮かべて私とクロウリーの顔を交互に見た
だが、私も特にこれといって何もしてやれないので、取り敢えず此方に居た方が落ち着くだろうと思い、手招きしておいた
「魔法が使えない人間を黒き馬車が迎えに行くなんてありえない!生徒選定の手違いなどこの100年ただの一度もなかったはず。一体なぜ……」
ブツブツと何か考え事をしているクロウリーは使い物にならなさそうなので不安気な表情のままの少年の頭を撫でていると、いきなりバッと顔を上げて私の方を見た
「兎に角、ユウさんの事は一先ず置いときましょう。さあ、貴方もさっさと寮分けしてもらって下さい!」
『だから私は違うと──』
ほらほらと背中をグイグイ押されて渋々ながらも鏡の前に立つが、恐らく私も何も無いはずである
はぁ、と一つ溜息を零せば、隣についていた蓮が心配そうに足に擦り寄ってきたので大丈夫だと返事し、腹を括って鏡に向き直った
「汝の名を告げよ」
『…………Aだ』
「A……汝の魂のかたちは………、………………」
鏡に浮かぶ顔は、またもや険しい表情をしたまま私の顔をじっと見詰めている
これはもうさっさと諦めた方が早いと思うのだが
「…………………わからぬ」
まあ、そうなるだろうな
「なんですって!?」
「この者からは魔力の波長が一切感じられない……色も、形も、一切の無である。然し、汝のその魂の周りには靄状の黒い何かが纏わりついている。これは……まるで、のろ『闇の鏡よ』……む?」
『それは言わなくていいだろう?早く結果だけを言ってくれ』
呪われている事を告げられれば、屹度周囲の者達は怖い思いをするだろう
それを知るのは私達だけで構わない
「……この者も、どの寮にもふさわしくない!」
私の意図を汲んでくれたのか、闇の鏡はユウと同じく宣告を下した
当然ながら内容も同じである
「ああ、なんて事でしょう!二人とも魔法が使えない人間だなんて。そんな事って……」
『違うと言おうとすれば、お前が何回も遮ったのだろうが』
一向に聞く耳を持たないクロウリーに私はまた溜息を一つ零したのだった
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ゆり - ありがとうございます!これからもがんばってください!! (2020年8月20日 10時) (レス) id: ea414cb9ae (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ゆりさん» ごめんなさい、書き方が拙くて上手く説明出来ていませんでしたね……; コメ欄で説明するには少し文字数が足りないので本編の方に解説載せます!そして嬉しいコメントありがとうございます、これからも頑張ります^^ (2020年8月20日 0時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - 13ででてきたどうして作り話になるのか分からないので解説教えてください!いつも楽しみにしています!がんばってください! (2020年8月19日 22時) (レス) id: ea414cb9ae (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ひめスカーレットさん» 此方こそコメント本当にありがとうございます、迚も嬉しいです。低評価に関しましては矢張り、自身の力不足だと思いますので精進します^^ (2020年8月1日 18時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
ひめスカーレット(プロフ) - 神作品ありがとうございます。低評価する人達は何考えているのでしょうこんなにいい作品なのに (2020年8月1日 12時) (レス) id: b3971a6534 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年3月28日 9時