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??? ページ33





黒社会が本格的に動き出す深夜過ぎ___。




横浜中心街の一等地、青く屹立するマフィア本部楼閣。
その建造物の最上階よりも更にその上_屋上に一つの人影があった。



青年らしきその人物は屋上……ましてや周囲の楼閣群よりもこの楼閣は一層高い場所だと云うのに、あろう事か縁に座り、気にする事も無く空中で足を子供のようにぶらぶらと、ばたつかせていた。




「この世界線でも、彼女は死ぬ運命だった」




その青年は手にしていた菫色の表紙の本を興味無さげにパラパラと捲り、やがてパタンと閉じた。
長い前髪からは普段見える筈が無い猩々緋色の瞳が悲しげに揺れている。




「なァんで、こうも上手くいかないのかなァ……」




片足を立てて頬杖をつき、そして頬杖をついた手とは反対の手の指で表紙をなぞり、ボーッと横浜の街を眺めた。
その瞳には青年の気持ちとは裏腹に、電飾の煌びやかな灯りが点った街の景色が映り込んでいた。




「其処も駄目、彼処も駄目。元の場所なんて論外。かと云って彼方も駄目。アレも、アレも、アレも、アレも、アレも、アレも……」




青年は全ての結末を知っていた。
管理を任されている“モノ”故に、彼女が生きる事が出来る可能性が零に等しい事を知っていた。
彼女の運命に待つのは他人よりも少し短い人生だけだった。




「……まあ、でも。最期に彼女は望んでくれた」




物憂げな顔をしていた青年が夜空に浮かぶ月を見て、にこりと微笑んだ。
漸く目標が達成される、そんな希望を見つけた笑みだった。




「あの子の願いは既に叶えた。だから次は君の番だよ」




青年は手早く本を懐に仕舞うと、縁の横に置いていた大きな鎌を手に立ち上がった。




「少し時間が掛かってしまうけれども、これでやっと恩返しが出来る」




次の瞬間、青年は迷う事無く縁を越えた。
屋上からの長い長い距離を、重力に引かれて落ちていく。


強く吹いた風が青年の纏うローブをはためかせた。




「嗚呼、楽しみだなァ」




落ちる最中、青年_リュヌは驚いた顔をする一人の愛しい女の事を頭に浮かべて口の端を上げた────。









─────── To be continue...?

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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!皆様のお陰で完結する事が出来ました!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!そう云って貰えると迚も嬉しい限りです!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います!不定期にはなりますが更新頑張ります!! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年1月23日 2時

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