佰伍拾 ページ22
『相討ちだ。流石に胸に銃弾を受けた事は無かったからな、想像を絶する痛みだったさ……なあ、ジイル』
｢嗚呼、そうだったな。アレは相当だった。出来ればもう喰らいたくない｣
懐かしむ様に話す私とジイルに三人は唯々目を見開いていた。
今回のこの抗争に酷似した出来事が以前──否、此処とは違う世界で起きていたと知り、更に死んだ筈の二人がこうして話しているんだ。
普通ならばこの突飛な話に混乱し、理解しようとはせずに諦めてしまうだろう。
『その後、私は知らない場所に居た。そこで神と名乗る少年の容姿をした者に出会って云われたんだ。罰として新しい世界でもう一度人生をやり直せと……そして気付けば寝台で寝ていた。太宰なら判るだろう？』
｢……五年前、診療所の前で倒れていたAを見つけたのは私だからね。判る、判るよ。判るけれども｣
信じる事は出来ない。
信じたくないと云いたいのを躊躇うように太宰は口を噤んだ。
『信じ難いとは思う。だが受け入れてくれ。証拠に私が先回りする様に動ける事が出来たのは、元の世界でこの世界が漫画の中の世界として存在していたからだ』
｢なら何故、未来を捻じ曲げてまで俺達を助けようと思ったんだ。助けなければお前は｣
『誓ったんだ、この世界に来たあの日に』
作之助の言葉を遮るように私は告げた。
刻一刻と迫る少ない時間の中、有効的に全てを話すには少しの無駄も許されない……判ってくれ。
『養っていた孤児の中の一人がこの世界を心の底から愛し、読む度にこう云っていた。“太宰さんと織田作と安吾さんが誰一人欠ける事無く三人揃って馬鹿みたいな事したりして平和に暮らしてる世界を私が作る”ってな』
結、私はやりきったぞ。
お前が望んだ未来を私は守る事が出来たよ。
『助ける事が出来なかった代わりにその夢を私が叶える。謂わば罪滅ぼしの様なものだ。それと唯の自己満足だな』
｢なら、何故乃公まで助けた｣
『それはジイルと同じ運命を辿って欲しくなかったからだ。心の何処かで願っていたものの、その願いは赦されはしないとお前は思い込んでいた。だが全てを知り、この力を持った私なら今度こそ救えると思った』
……少し拙いな。
幾ら異能を使用しているとは云え、地面に赤い水溜りを作る血液の大きさがもう限界だと訴え掛けるように私から流れ出ていた。
伝えなければ、彼等に光を示さなければ。
私にしか出来ないんだ、話せ、止めるな……！
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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました！皆様のお陰で完結する事が出来ました！ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (
レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました！そう云って貰えると迚も嬉しい限りです！ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます！お疲れ様でした！ (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした！ (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います！不定期にはなりますが更新頑張ります！！ (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒龍 | 作成日時：2020年1月23日 2時
