佰参拾 ページ2
私は拳銃を構えたまま、横目でそれを見ていた。
五秒、十秒。
十二秒かかり、兵士が弾倉を交換しようとしたタイミングで、私は手榴弾のピンを抜いて洋館の中に投げ込んだ。
爆発で室内が吹き飛ばされると同時に二挺拳銃を構えて室内に踊り込む。
噴煙を抜け、銃弾が飛翔した。
前のめりに床へと飛び込みながら二発。
発火炎が室内を白く明滅させる。
前転してから走行方向を横に変え、部屋の隅へと跳びながら二発。
空中の石膏片、血煙、爆煙が銃火に照らし出される。
足下で短機関銃の銃弾が弾けた。
着弾点を予測して壁際を疾走しつつ二発。
無数の空薬莢が床に落下し戦場音楽を奏でる。
最後に両手の銃を揃えて中央の敵に二発。
そして沈黙。
突入時にいた兵士はすべて胸を撃ち抜いた。
私は部屋を見回した。
洋館の玄関ホールは吹き抜けの
天井近くにあるステンドグラスが、室内の埃と硝煙を曖昧な色合いに輝かせていた。
その下には撃たれたミミック兵が六人分、転がっていた。
記憶していた敵の数には遠い。
まだまだ宴は続く。
絨毯の敷かれた大階段の向こう、洋館の奥間から兵士の足音が聞こえてきた。
私が異能力で観ることができるのは五秒強。
奥にどのような罠があるのか、どのような陣形で敵が待ち構えているのかまでは判らない。
私は弾倉を交換した。
それから階段をゆっくりと登った。
階段を登り切った先は細く長い渡り廊下になっている。
奥から敵が押し寄せるのだとしたら、遮蔽物から
渡り廊下の先に兵士達が見えた。
兵士が銃を構えた。
私は正面突破を選択した。
ほとんど回避する隙間のない細長い渡り廊下に、私は駆けていった。
敵は四人。この距離での最適銃種である短機関銃を撃ちながら前進してくる。
私は前傾姿勢で疾走した。
いちばん先頭のミミック兵に走って接近しながら、銃撃を放った。
兵士が胸に弾を受けてのけぞる。
その懐に素早く駆け込み、兵士の体を遮蔽にしてさらに二発。
二番目のミミック兵がまたもや胸に弾丸を受けてのけぞる。
弾を受けた兵士の指が痙攣し、天井に帯状の弾痕を刻み込んでいった。
そこらにあった端材を蹴り、後続の兵士に向けて飛ばした。
三番目の兵士が端材を払おうとした隙をついて側方に回り込み、掌拳を顎に叩き込む。
顎が真横まで振れたところを、胸に一発。
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黒龍(プロフ) - ハリネズミの毛玉さん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!皆様のお陰で完結する事が出来ました!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - ちょこれーとさん» 此処までこの作品に付き合って頂き本当にありがとうございました!そう云って貰えると迚も嬉しい限りです!ちまちまと番外編も書いていこうと思っていますので、良かったら暇潰し程度にまた読んで頂けると有難いです^^ (2020年3月27日 23時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
ハリネズミの毛玉(プロフ) - 完結おめでとうございます!お疲れ様でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: 9b2a72a438 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこれーと(プロフ) - 完結お疲れ様でした。とても面白い作品でした! (2020年3月27日 9時) (レス) id: adc186f0a4 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - マーシャさん» 嬉しいお言葉、有難う御座います!不定期にはなりますが更新頑張ります!! (2020年3月2日 1時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒龍 | 作成日時:2020年1月23日 2時