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弐拾 【十五歳編】 ページ25




───一年後。




と或る診療所で一人の男が困っていた。
兎に角困っていた。




「之は……如何にもならないねえ……密輸銃の納入期限が二週間も過ぎてる。これじゃあもう時期部下は全員キッチンナイフで敵と戦う羽目になるよ。それだけじゃない。抗争激化に保護ビジネスの契約解除……はぁ……ひょっとして向いてないのかなあ。ねぇ、太宰君、どう思う?」




話しかけられた痩せた小柄な少年__太宰 治はビーカーに入った液体を棒で掻き混ぜ乍ら白衣の男__森 鴎外の事を呆れた表情で見た。




「あのねぇ、森さん。お金が無いとか情報が無いとか部下からの信用が無いとか、そんなの最初から判ってた事でしょ」


「非道いなぁ。部下からの信用は、たった一年にも関わらずA君の人柄のお陰で七割も得る事が出来ているんだよ?…………処で君は何故高血圧の薬と低血圧の薬を混ぜているのかね」


「纏めて飲んだら楽に死ねるかなーと思って」




心做しか熱心に液体を掻き混ぜている太宰を見て森は溜息を吐く。




「太宰君。君は私が先代より首領の座を継いだ時にその場に居た、遺言の証言者だ。そう簡単に死なれては困る」




太宰はビーカーに入った液体を飲もうとしていたが重々しい溜息を吐くと森の方に向き直った。




「アテが外れたね。自 殺未遂の患者と最下級構成員を共犯者に選んだのは善い人選だったが一年経ってもこうして僕は生きてる。勿論Aもね」


「外れてなんかいないさ。君と私、そして彼女とで見事に作戦を遂行してみせたじゃないか」


「作戦って云うのは暗殺に関わった人間が口を封じられて初めて完了って云うんだ。その点僕達は共犯者に適任だった。だって僕の証言で貴方が首領になった後、僕が動機不明の自 殺を遂げたとしても誰も疑わないし、下級構成員であるAは殉職した事にすれば問題無いからね」




二人は暫くの間、無言の視線を交わしあった。




「君に似た人を知っている」


「?」


「兎に角、口封じをするつもりなら疾っくにやってるし、君がそんなに望むなら楽になれる薬を調合してあげても善い」


「本当?」




太宰は楽になれる薬という単語(ワード)に目を輝かせて食い気味に聞いた。




「その代わり、ちょっとした調査を頼みたい。何、大した仕事じゃあ無いし、何の危険も無い」




森はそう云いながら、机の抽斗(ひきだし)から紙片を取り出した。
そしてそこに羽根ペンでさらさらと文字を書きつけた。

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黒龍(プロフ) - 様々なオタクさん» もしやSAOの……?() (2021年6月12日 19時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
様々なオタク - ヴァッサーゴ?!ヴァサゴ?!POH?! (2021年6月12日 18時) (レス) id: eccd7c5314 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - 布教する猫さん» コメントありがとうございます!更新に関しましては不定期になりますが頑張ります^^ (2021年1月16日 11時) (レス) id: b77228759e (このIDを非表示/違反報告)
布教する猫(プロフ) - すっっごく面白いです!!更新頑張って下さい!!(* ´ ▽ ` *) (2021年1月14日 20時) (レス) id: 0899319726 (このIDを非表示/違反報告)
黒龍(プロフ) - じしゃくさん» コメントありがとうございます!そして、そこに気付いて頂けて凄く嬉しいです……!! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 9b97ad947e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:黒龍 | 作成日時:2018年5月21日 1時

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