バッドエンド作成委員会【stpr】

離れる心 ページ38

さとみside


『以上、とある女の子の人生でした』


そう言ってぺこりとお辞儀をした蒼井さん


俺は蒼井さんの言ってることが半分信じられなかった


いや、嘘だと思ったわけじゃないんだ


ただあまりにも過酷すぎて


“信じたくなかった”んだ


『急には信じ難いですよね？』


蒼井さんのぱっちりと開かれた目が俺の顔を覗き込む


蒼井さんは何を考えているんだ


罪悪感もなんも感じてないのか？


感情がないから？


だから？


俺には理解ができない


さ「うん…」


おれは力なさげに答えた


『まぁ、それもそうですよね〜w』


なんでもないかのようにそういう蒼井さんが


今は悪魔のように見える


こ「あれ…？後輩の…」


『あら？どうされたんですか？青野先輩』


こ「いや、なんか騒がしかったから…ってさっきの…誰？」


さ「俺は…」


蒼井さんは俺に目で合図を送ってくる


助ける気は無いぞという意味だろうか


さ「お前の親友だよ」


こ「なにそれ…僕、お前のことなんか知らないし」


さ「それはお前が忘れてるだけで…」


こ「知らない知らない知らない！お前なんか知らないんだ！」


『まぁまぁ』


俺ところんの間で止めに入る蒼井さん


でもこんなの…残酷すぎじゃないか？


こ「蒼井さん…だっけ？こいつどうにかしてよ…」


『ん〜…青野先輩が言うんでしたら…』


は？


なんでころんが蒼井さんと仲良くしてるんだよ


さ「おいっ！ふざけんな！」


俺は蒼井さんに殴りかかろうとする


こ「おい！何してんだよっ！そんなことしていいと思ってんのか！」


意外にも俺を止めたのはころんだった


さ「ころん…」


俺は拳に入れていた力を一気に抜いた


こ「…僕が思い出すまで…もうちょっとだけ、もうちょっとだけでいいから…

待っててよ…((ﾎﾞｿｯ…」


その声は蒼井さんに聞こえていたのだろうか？


それぐらい小さな声でころんは俺に伝えた


もしかして…完全に嫌われた訳では無い…？

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