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「あんた小さいし、俺差す」
一つの傘の下、ユンギの隣を歩くのは変な感じしかしなかった
自分が関わることなんて、後にも先にも絶対ないだろうと思っていた男だったからだ
「なに?」
『いや、別に』
「あっそう」
彼は、なんだかいい匂いがした
香水の匂いかもしれないし、彼が持つ特有の空気がそう感じさせたのかもしれない
少しスパイシーで、
少し甘くて、洗練された匂い
帰り道、会話は全くなかったけれど、気まずいとは思わなかった
ユンギの家に着いた時、
「寄れば?」
そう言われて、特に抵抗もなく彼の部屋に上がった
そこからだ、そんな風になったのは
キスを拒まない私に彼は少し不思議そうな顔をした
「よく知らない男の家に簡単に上がるような女には見えなかったんだけど」
もちろん、彼が抱いた印象の通り普段の私はこんな事はしないだろう
『人は見た目で判断しちゃダメなのかもよ?』
「そうかもね」
だけど、そんな強がりはすぐに見抜かれる
「…体強張ってる。緊張してんの?」
もちろん初めてではなかったけど、彼氏以外の男、それもほぼ初対面の男とした事はなかった
そこを強がろうとは思わなかった
『うん、少しだけ』
そう言ったら面倒くさがると予想していたけれど、
「出来るだけ優しくするから、辛かったら言って」
ユンギは見た目の印象とは違って非常に紳士だった
…いや、付き合ってもない女を家に上げて、する事をしてる男を紳士と言っていいのかはわからないが、私に対する彼の態度や触れ方は紳士的だった事は間違いない
事が終わった後もしばらくその場に留まった…ごく自然に
男なんて欲を吐き出したら態度が冷めるものだと思っていたけれど、彼は特に変わらなかった…や、最初から冷めていたのか
「やっぱおまえ、そうゆう女じゃないだろ」
『うん。どうしてわかるの?』
「抱けばわかるよ、遊んでるかどうかなんて」
私を帰そうとも引き止めようともしなかったから、どちらからともなくそのままベッドに入ったまま時間を共有した
『好きじゃなくても抱けるんだね、ミンくん』
「おまえも好きじゃなくても抱かれるんだな…あー、えっと」
『Aね』
名前の認識もない事に笑ってしまった
「ユンギでいいから」
『わかった、ユンギ』
夜更けになって、彼の家を出る時、
「なぁ、また来いよ」
ユンギはそう言った
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mituki(プロフ) - 久しぶりに占ツク読むと、ちゃいさんの新作がっ!!本当に震えました!!ちゃいさんのユンギさんが大好きなので、本当に楽しみです^^ちゃいさんのペースで更新してください!ちゃいさんの過去作品を読み返して待ってます^^ (2019年5月1日 4時) (レス) id: f9131addb5 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - ななペコさん» うわぁTTなんとありがたいことでしょうTT私なんぞのお話をお気に召していただけて超光栄でございますー!相変わらずの亀更新になりそうですが、楽しんでいただけるように頑張りますねー!いつも本当にありがとうございます!! (2019年3月12日 2時) (レス) id: 7e7998c8d7 (このIDを非表示/違反報告)
ななペコ(プロフ) - はじめまして。いつもちゃいさんの小説を密かに読ませて頂いています。初めて読んだ占ツクの小説がちゃいさんが書いたお話で。またちゃいさんの小説が読めて嬉しいです。魅力的な物語の雰囲気、続きが本当に気になります…無理せず頑張って下さい。応援しています! (2019年3月11日 0時) (レス) id: b3b044afea (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - チョンミーさん» チョンミーさん!コメントありがとうございます!なんとcloserをお好きな方に読んでいただけるなんて!私もこの曲大好きなのでとっても嬉しいですー!今後も楽しんでいただけるようにマイペースに頑張りますねー! (2019年3月10日 1時) (レス) id: b2597b2b70 (このIDを非表示/違反報告)
チョンミー(プロフ) - こんにちは!開始からもう続きが楽しみです!私chainsmokers大好きで、その中でも一番closerが愛してやまない曲なので本当に展開が楽しみです。無理なさらない程度に頑張ってください!応援してます (2019年3月9日 13時) (レス) id: f9e1769adf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちゃい | 作成日時:2019年3月9日 1時