まだ見ぬ君へ

44 -YOU- ページ45

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『･･･あ、この電車にしようかな』



午前中いっぱい自分の部屋を片付けて、
トリプルスリーで少し早めの昼食を取っている



釜山から大邱までは急行だと1時間程度のようで
自分が思っていた以上に近い事を知った



【僕も今度、後輩に誘われて帰省することにしたんだけど、その時に少し釜山に行ってみようかと話しています】



ユンギさんがいつ帰省するのかまで
手紙には書いていなかったけれど
彼も私と同じ大学生だから
この連休を使って帰省するんじゃないだろうか



同じ時間を同じ場所で過ごすなんて事が
もしかしたら起こるかもしれない



そう思うと意味もなく胸がドキドキした



彼は今大邱にいるのかな

それともあの手紙の通り、釜山にいたりして




例えば･･･


ここから駅までの道をすれ違ったり
大邱でホームの反対側にいたり
実はこのお店にも来ていたり･･･



『なんてね』



そんな空想はまるで本の中の世界のようで
やっぱりこの胸をときめかせた



現実では本の中のように
偶然なんてそうそう起こらないのにね




ｼﾞﾐﾝ｢あれ？Aー？｣


『あぁ、ジミン今日いたんだね』


ｼﾞﾐﾝ｢うん、連休だし本当は彼女に会いに
　ソウルに行こうと思ってたんだけど、
　予定が合わなくてさ･･･ここでバイトってわけ｣


『そっか、残念だったね』


ｼﾞﾐﾝ｢まぁ、うん･･･また次の機会にね｣



少し眉毛を下げて切なそうに笑うジミン


きっと彼女に会いに行きたかったんだろうな



ｼﾞﾐﾝ｢ってゆーかこんな時間に来るなんて珍しいね｣


『うん、ちょっとこれから出掛けようかなって』


ｼﾞﾐﾝ｢へぇ、どこ行くの？｣


『大邱に行ってみようと思ってるんだ』


ｼﾞﾐﾝ「向こうに友達でもいるの？」


『うん、まぁそんなところ』



ユンギさんを友達と呼んでいいかわからないし、そもそもユンギさんに会いに行くわけではないけれど、大邱に行こうとする理由の説明に困ってしまって曖昧に返す



ｼﾞﾐﾝ｢なんか随分楽しそうだなぁ｣


『え？そう？そうかな』


ｼﾞﾐﾝ｢俺にはそう見えるけど｣



それはきっと、


今私がすごくワクワクしているからだ




『そろそろ行こうかな』


ｼﾞﾐﾝ｢気を付けて行って来いよー？｣


『ありがとうね』




足取りがいつもより軽いのもそのせいだ

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