まだ見ぬ君へ

39 -YOU- ページ40

・



ﾐｶ｢とりあえずさ、
　好きとか恋とか置いといても、
　少なくとも好意的に思ってるわけじゃない？
　大邱に行ってみたいと思うわけだし｣


『うん』



好意的に思わなければ返事なんて書かないもの



ﾐｶ｢Aはその人のどこに惹かれるの？｣


『え？』


ﾐｶ｢いいなって思うとこ｣


『あぁ』


それならすごく答えやすい



『文字、かな』



ユンギさんの書く文字が好きだった



決して綺麗な字ではないんだけど、
不器用ながらも彼の素直な言葉を紡いでくれる
あの角ばった文字はいつも私に勇気をくれるから



名は体を表すというように
文字にもその人の人柄が出ると思う



『きっと、外からは優しそうに見えないけど
　実はとっても優しい心を
　隠し持ってる人なんじゃないかなって』



私の中のユンギさんはそんな人



少なくとも手紙の中の彼は
外から見えてる彼ではないもの



ﾐｶ｢私にはAが、｣


『ん？』



ミカは言葉を途中で止めてしまう



ﾐｶ｢ううん、やっぱいい
　これは私が言うよりも
　Aが自分で気づいた方が良さそうだし｣


『どうゆう事？』


ﾐｶ｢大邱に行ってみたら？って事｣


『なによ、変なミカ』


ﾐｶ｢文字がいいなって言ってるAのが
　私よりよっぽど変だと思うけどー？｣


『もう、やめてよ』


ﾐｶ｢あははっ｣



ミカと話してながらも、
すでに心の中で大邱を訪れようと決めていた



ユンギさんは今ソウルに住んでるし
大邱にはいるはずもないんだけど、

なんだか･･･まるで
彼に会いに行く気分でドキドキ鼓動が高まる



おかしいよね、私



彼に会った事もないのに




仮に大邱にユンギさんがいたとして、

彼とすれ違ったとしても
通りすがりに挨拶を交わしたとしても
彼だと、わかりもしないのに




だって


知らないんだもん



彼の･･･その姿形を、声色を

40 手紙 YG→YOU→←38 -YOU-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す