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それはいつもとそう変わらない日だった



晴れでも、雨でもなく、
くすんだ色の雲が空を覆う曇りの日だったと思う



特に約束をしたわけでもなく、
でも特にイラついた様子もなく、
休みのユンギさんは私を部屋に呼び出した



『なにかあったの?』


ユンギ「別に・・・
 なにかないとお前を呼んじゃダメなわけ?」


『ううん、そんなことない・・・すごく嬉しい』



彼はたまにそうゆう事をする



会いたいわけでもないのに
共通の話題も趣味もない私を呼び出すのは
おそらく彼の性根が孤独を嫌っているからだろう


誰でもいいから側にいて欲しい

でも、どうせなら自分を愛してくれる人間がよくて
側に置く事で孤独な人間じゃないと確認するんだ



強がっているけれど
ユンギさんはそうゆう人だ


本当は孤独なくせに



ユンギ「・・・あぁ、何もする気起きねぇ」



そう言って私の肩に持たれ
ぼんやりと部屋の天井を見上げる



何もしないこの時間が好きだった



単に肉体ではなく、
存在自身を必要とされている気がするから

時間がゆっくり流れる気がするから

ユンギさんの弱い一面に触れた気がするから



理由を挙げればキリがないけれど
彼と時間を共有できるのなら
体の繋がりなんてどうでもよかった



きっと・・・一生、永遠に、

ユンギさんの激情と孤独を繰り返し受け止めて
抜け殻の彼の側にいるんだろうなって思ってた



でも、幕は突然に引かれる



『ユンギさん?電話震えてない?』



私でもユンギさんでもない者の手によって



ユンギ「え?あぁ、俺かも」



床に投げ出していた電話を手に取る



ユンギ「は?」



それは救急のオンコールが鳴るピッチじゃなく
彼が私用で使っているスマホだった



嫌な予感がした



彼は画面を怪訝そうな表情で眺めると、



ユンギ「悪い、俺出ねぇと・・・」



立ち上がってポケットにスマホをしまう



『・・・帰った方がいい?』


ユンギ「そうしろ」


『わかった』



相手が“彼女”ならば電話掛かって来るはず
・・・メールなんて今まで一度もない



でも、直感的に彼女だと思った



『私が必要なら・・・その時は呼んで』



ユンギさんはそれに返事しなかった



きっと、彼は彼女に会いに行く



言いようのない不安を感じながらも、
それだけは確信し、ユンギさんの背中を見送った



それが


私が彼の後ろ姿を見た・・・最後だった

35 -YG-→←33 



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ひめか - こんなに読んでて涙が溢れたのは初めてです。ありがとうございました! (2021年1月31日 4時) (携帯から) (レス) id: a3b377be62 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 最初ちょっと怖いのかな?って思ってから入りましたが、どんどん読むにつれて奥が深いというか…とにかく私はこのお話すごく読んでよかったと思いました!最後涙止まりませんでした。ちゃいさんの作品私大好きです。また他の作品も読ませてくださいね! (2018年4月4日 22時) (レス) id: 3605258b65 (このIDを非表示/違反報告)
ナーア(プロフ) - すごく好きでした。ありがとう。 (2016年12月10日 12時) (レス) id: e9da991bb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - kpmhron13さん» 重苦しいお話だというのにお気に召していただけて光栄でございますTT また好きになっていただけるようにこれからも頑張ってお話を書いていきますー!コメント本当にありがとうございましたー! (2016年11月30日 17時) (レス) id: c01c8f472f (このIDを非表示/違反報告)
kpmhron13(プロフ) - すごいすきです。この話。 (2016年11月30日 12時) (レス) id: 10c7499d6b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちゃい | 作成日時:2016年10月12日 20時

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