いつか、そっちに行くまでは -fin- ページ26
・
ジミンはそれでいいと言った、
ユンギさんを･･･愛したままでいいと
彼もまたバカな男だと思う
だって、
“ｼﾞﾐﾝ｢Aちゃんが
あっちに行くまでは僕といようよ
僕一緒にいてさ、普通の女の子が
死ぬまでの間にする普通の事を全部しない？｣”
自分以外の男を愛したままの女に
そんな可笑しな提案をするんだから
私はそれに、ただ頷いた
もしかしたらジミンと結婚するのかもしれない
彼によく似た子供を産んだりもするのかもしれない
それで一緒に歳を取って
最期は同じお墓に入ったりするのかもしれない
そうゆう未来もあるのかもしれない
今ならわかる
“【ﾕﾝｷﾞ｢最期は、っ
お前の声、聞きてぇなって思った｣】”
ユンギさんがなぜ私に電話を掛けてきたのかも
“【ﾕﾝｷﾞ｢俺は･･･はぁ、
こっちでは、お前を･･っ
愛してやれなかったけどさ、
でも、っ、もしかしたらさ、あっちではさ】｣”
その意図がなんであるかも、今ならわかる
ユンギさんは嘘つきだから
あっちに行ったって
私の事なんて愛してくれないと思うんだ
それは･･･
“ﾕﾝｷﾞ｢お前を愛せたらいいのにな｣”
それが出来たらよかったのにという
憐れな自分への懺悔のようなもの
私はそれで満足なのだ
自分がそう出来なかっただけで
“愛するに十分値する女”
彼にそう思われただけで、私は幸せだ
それで、十分
ｼﾞﾐﾝ｢あぁ、段々日が沈んで来ちゃったね｣
『･･･きれい』
池の水面に反射するオレンジは
徐々に徐々に黒く濁っていく
深く沈みそうな水の底
だけど、
ｼﾞﾐﾝ｢そろそろ刑事さん帰ったんじゃない？
行こうよ、ユンギさん待ってるから｣
『そうだね』
今はまだそっちにいかない
ｼﾞﾐﾝ｢僕、ユンギさんに言いたい事あるんだ｣
『･･･え？』
ｼﾞﾐﾝ｢Aちゃんをそっちに
連れて行かないでくれてありがとって｣
あなたのいないこっちの世界では
あなたじゃない人を愛せるかもしれないから
･･･というより、
それを望んで私を置いてったでしょう？
どうせそっちに行ったら
私をあなたを愛してしまうから
『･･･うん、そうだね』
だから、せめて
いつか、そっちに行くまで･･･私は
「 黒濁浮遊 」
-fin-
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ひめか - こんなに読んでて涙が溢れたのは初めてです。ありがとうございました！ (2021年1月31日 4時) (携帯から) (
レス) id: a3b377be62 (このIDを非表示/違反報告)
みほ - 最初ちょっと怖いのかな？って思ってから入りましたが、どんどん読むにつれて奥が深いというか…とにかく私はこのお話すごく読んでよかったと思いました！最後涙止まりませんでした。ちゃいさんの作品私大好きです。また他の作品も読ませてくださいね！ (2018年4月4日 22時) (レス) id: 3605258b65 (このIDを非表示/違反報告)
ナーア(プロフ) - すごく好きでした。ありがとう。 (2016年12月10日 12時) (レス) id: e9da991bb8 (このIDを非表示/違反報告)
ちゃい(プロフ) - kpmhron13さん» 重苦しいお話だというのにお気に召していただけて光栄でございますTT また好きになっていただけるようにこれからも頑張ってお話を書いていきますー！コメント本当にありがとうございましたー！ (2016年11月30日 17時) (レス) id: c01c8f472f (このIDを非表示/違反報告)
kpmhron13(プロフ) - すごいすきです。この話。 (2016年11月30日 12時) (レス) id: 10c7499d6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちゃい
| 作成日時：2016年10月12日 20時
