レインボーサイト -LEO-

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少し肌寒いくらいの
静かな風の吹くこの季節が好き



昼間の気温に油断して着てきた半袖


袖から出る腕を心地良く冷やすこの風が
昔から好きだだったけど
今はそれだけが理由じゃない



ホットコーヒーが恋しくなるこの秋の訪れを
この何週間ずっと心待ちにしていた



『･･･いた』



その後ろ姿を目に捉える



太陽が容赦なく照りつける夏には
眺める事の出来なかった光景



しかも今日は
うす曇りの空だからさらにいい



木々を黄色く色づける秋



コーヒーのカップを脇に置き
物思いにふけった様に
空に広がる白い雲を
ぼんやりと見上げる広い背中



彼の邪魔をしないように
少し離れてベンチの隣に腰掛けると
横目でチラッとだけこちらを見る



ガラス玉のように澄んだ瞳に
少し長めの前髪がふわっと掛かる



その瞳に今の私はどう見える？



『今日は･･･どうですか？』



心地良い少しの沈黙の後


肩の上あたり、
顔を見つめられてるんじゃないかと
ドキッとするくらいの高さで視線を固定



「うん、悪くない」



カナリアのような声で呟き
脇に置いていたコーヒーのカップを手に取る



彼の隣は心が洗われるようで
その日どんなに嫌な事があっても
脈は穏やかさを取り戻し呼吸が落ち着く



例えるなら森林浴してるみたいな



「曇りっていいよね、俺‥すきだ」


『白いから？』


「うん」



彼は“白”という色を好む



それは単にその色が好きだからとか
普通の人が思う感覚と少し違う



「雨雲はきらいだ･･･
　雲が白くなくなるから」



灰色に染まる雨雲


憂鬱そうに眉を少ししかめる彼は
“黒”という色を極端に嫌う



それも単にその色が
嫌いだからという理由じゃない



多分、人間の嫌な部分を連想するから



『大丈夫･･･
　今週は雨、降らないはずです』


「そう、ならよかった」



この綺麗な高音が耳に届く瞬間が
一番優しい気持ちになれる



「もしも雨が降ったら
　私が白い傘を差します」



その不思議な瞳を細めて笑う




彼の、テグンさんの隣にいるだけで


私の世界は彩られる

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