90minutes -TH-

ダイアの紫煙-YOU- ページ45

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そこからテヒョンにも会えず
カイからもレイさんからも何にも掴めないまま
ユンギさんの指名がかかる



『ユンギさん･･･
　この前の話なんですけど‥』



ブランケットを手繰り寄せ
まだ熱の残る体を起こすと、
すでにベッドから降りているユンギさんは
ガウンを羽織り煙草に火を付け隣に腰掛ける



ﾕﾝｷﾞ｢おぅ、考えた？｣


『はい』



“真実”は未だわからないけれど
１つだけハッキリしてる事



『折角だけどお断りしようと思います』



それは･･･この話を受けようものなら
ユンギさんに危険が及ぶだろうという
勘めいた根拠のない確信



ﾕﾝｷﾞ｢は？なんで？｣



返事が予想外だったのか
ユンギさんは眉をしかめる



『だって‥』



手札“ダイアのＫ”じゃ
“スペードのＡ”にはきっと抗えない



ﾕﾝｷﾞ｢悪い話じゃないだろ？｣



だけど


その理由さえ言えない



『私には勿体ない話し過ぎて･･･』



この人を巻き込むわけにも
迷惑を掛けるわけにもいかない



『それに今以上に
　誰かに縛られるのは嫌･･･』



なにより


私とユンギさんの間に愛がない



ダイア(貨幣)で契約される関係なんて
一体･･･今と何が違う？



　これが･･･
　テヒョンだったなら‥



彼になら･･縛られたい繋がれたい



ﾕﾝｷﾞ｢俺が嫌とかじゃねーわけ？｣


『そんな事思うはずない
　嫌ならこの前の時点で即答してます

　それに毎回毎回入浴剤持ち込んだりして
　ユンギさんの事を
　健気に喜ばせようとはしませんよ』


ﾕﾝｷﾞ｢ふーん･･･どうだかな｣



苦笑いしたように口角を上げると
天井に紫煙を舞い上げる



意図に気付いているのに
深追いして詮索しないユンギさん



『ユンギさんにいつか恋人が出来たら
　その人に刺されちゃいそうで怖いもん』



煙草を灰皿に押しつけると
“なんだそれ”と言いながら彼は
膝の上に形のいい頭を乗せる



ﾕﾝｷﾞ｢ま、俺はお前がそう言おうが
　今までと何も変わんねーけどな｣


『知ってます』



そう･･･状況は何一つ変わらない



私は未だに沼の中にいるし
見えていたずの光も見えなくなってしまった



もう誰を信じていいのか･････わからない



　このままテヒョンに
　一生会えなかったら･･･どうしよう



変な胸騒ぎだけがする

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