90minutes -TH-

命がけ？ ページ34

■ﾃﾋｮﾝside



男の後に続いて店の路地裏に入る



たとえ罠でも構うもんか



ｶｲ｢･･･ここならいいか｣



通りから見えない場所まで進むと
彼は立ち止まり振り向く



ﾃﾋｮﾝ｢･‥‥｣



そして感情の宿らない面で



ｶｲ｢単刀直入に言う｣



感情がこもらない声を発する




ｶｲ｢Aに関わんないほうがいい｣


ﾃﾋｮﾝ｢A？｣



彼の口からは
“アンナ”でなく本名の方が飛び出す



ｶｲ｢知ってんでしょ？彼女の名前｣


ﾃﾋｮﾝ｢知ってる｣



店の人間と客の時とは違った
ぶっきらぼうな口調･･･
だけどこの喋り方のがしっくりくる



ﾃﾋｮﾝ｢でも･･･なんで？｣



俺が彼女の本名知ってる事を知ってんの？



ｶｲ｢そんなの簡単だよ｣


ﾃﾋｮﾝ｢？｣


ｶｲ｢あんた･･･
　彼女にとって特別な客だろ？｣



まぁ‥否定はしないけどさ



そんな事より



ﾃﾋｮﾝ｢関わんないほうがいいってなに？｣



どうゆうこと？



ｶｲ｢言葉の通りだよ｣


ﾃﾋｮﾝ｢･･･え？｣



１トーン声が下がり
とんでもない単語が飛び出す



ｶｲ｢命が惜しいんなら
　彼女は諦めた方がいい｣


ﾃﾋｮﾝ｢命？は？｣


ｶｲ｢死にたくはないでしょ？｣


ﾃﾋｮﾝ｢‥‥･｣



彼が暗示してるのは
このところの不可解な事なのか？



それって･･･もしや



ｶｲ｢うちの若頭に目をつけられてる女･･･
　そんな女からは手を引いた方が身のため｣



こいつらの仕業？



　どうゆう事？
　話がさっぱり見えない



だって彼女は元彼に背負わされた借金を
こいつらに返してるだけでしょ？



それなのになんで命って単語が飛び出すわけ？



ﾃﾋｮﾝ｢言ってる意味が
　全然わかんないんだけど｣



そしてなんで俺？



ｶｲ｢わかんなくていいよ｣



彼の目からは憐れみが漏れる



ﾃﾋｮﾝ｢･････｣


ｶｲ｢あんたも･･･
　あいつの元彼みたいになりたくないなら
　これ以上関わんないほうがいい｣


ﾃﾋｮﾝ｢元彼？｣


ｶｲ｢それ言いたかっただけ｣



数々の疑問を残して
背を向け通りの方へ出て行く



ﾃﾋｮﾝ｢･･･どうゆう事だよ｣



ただ１つわかったのは
Aを沼から掬い上げるのが



どうやら“命がけ”になりそうだという事




ﾃﾋｮﾝ｢･･･なに？元彼って‥
　今その人･･･どうしてるの？まさか‥｣



ネオンの中に消える背中を見つめて思う



彼は･･･忠告をしてくれたのかもしれない

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