90minutes -TH-

純光-YOU- ページ30

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荒んだまま迎えた週末



ｶｲ｢今日･･･いつものお前指名の客が
　店の前でお前拾いたいってさ｣


『それってユンギさん？』


ｶｲ｢そう｣



いつもなら指定のホテルに向かうのに
“仕事帰りだしメシ食いながら”という
ユンギさんらしい変わった注文を受け
服を着替えて店前で彼の車を待つ



自分の心の中とは裏腹に
チカチカと光る街のネオン



プリズンに張り巡らされた
有刺鉄線のように鋭く射す人工灯



　ここから出たい･･･



そう願ったのが
間違いだったのかもしれない



ﾃﾋｮﾝ｢A！｣



通りの向こう側に佇む私の光



人工灯が騒がしいこの街の中では
ひときわ異彩の光を放つ純光“JOKER”



今日ほど自分の運命を呪った日はない



ﾕﾝｷﾞ｢おまたせ｣



目の前の路肩に白いワーゲン



車のウインドウから
ハンドルを握ったユンギさんの顔が覗く



ﾃﾋｮﾝ｢待って！A｣


ﾕﾝｷﾞ｢A？｣



声の発信源と私の視線を辿ったユンギさんは
少し首を傾げて“あぁ･･･本名か”と呟く



ﾕﾝｷﾞ｢知り合い？｣


『･･･えぇ、ちょっと‥』



なんでこのタイミングなの？



テヒョンは通りを横切ろうとするんだけど
反対車線の車の流れに遮られる



　ここから出られたら･･･



ﾕﾝｷﾞ｢んー･･･っと｣


『ユンギさん‥行きましょう』



どうして今なの？



ﾕﾝｷﾞ｢は？あの男いいの？｣


『今･･･私の時間は
　ユンギさんの‥ものでしょ？』



他の男の車に乗り込むところなんて、
客と一緒にいる“アンナ”の私なんて、



ﾕﾝｷﾞ｢まぁ‥そうだけどさ｣



テヒョンの元に本能のままに
駆け寄る事が出来ない私の憐れな姿なんて



ﾃﾋｮﾝ｢･････｣



見られたくなかったよ、テヒョン･･･



ﾕﾝｷﾞ｢いーの？｣


『車‥出して下さい･･･』



通りの向こう側に立ち竦む
蛍のような儚い純光を、


私は真っ直ぐ見る事が出来なかった

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